第38話

第38話「隣にいたい夜」
25
2026/08/02 17:42 更新
金曜日。

編集部。

岸「よーし!撮影も終わったし!」

じん「今日は編集長のおごりだー!」

編集部中が拍手に包まれる。

編集長「この前の撮影、お疲れ!」

あなたの下の名前「やった!」

海人「久しぶりの飲み会ですね!」

紫耀はそんなみんなを見ながら笑う。

紫耀「今日は仕事の話無しなあ」

岸「了解でーす!」



居酒屋。

「かんぱーい!」

グラスが重なり、にぎやかな時間が始まる。

あなたの下の名前も久しぶりにお酒を口にした。

海人「あなたの下の名前さん、最近飲んでますか?」

あなたの下の名前「最近はそんなに飲んでないかなあ」

岸「じゃあ今日は飲もう!」

じん「編集長のおごりだから!」

編集長「ほどほどにな?笑」



一時間後。

海人「あれ?」

岸「あなたの下の名前?」

あなたの下の名前はテーブルに頬杖をついたまま、ぼんやりと海人を見ていた。

あなたの下の名前「髙橋くーん」

海人「はい?」

あなたの下の名前「お水」

海人「あ、はい!」

慌ててグラスに水を入れる。

あなたの下の名前は両手でコップを持つと、こくこくと飲んだ。

あなたの下の名前「ぷはあ」

じん「酔うとこんな感じだったっけ?笑」

海人「いつものあなたの下の名前さんと全然違いますね笑」

あなたの下の名前は海人の袖をちょん、とつまむ。

あなたの下の名前「髙橋くん」

海人「どうしました?」

あなたの下の名前「あんがと!」

にこっと笑う。

その無邪気な笑顔に、海人は思わず固まった。

海人(かわいすぎる…)

すぐにその考えを振り払う。

(何考えてるんだ。)

目の前には、彼氏がいる。

そう分かっているからこそ、胸が少しだけ苦しくなる。



その様子を見ていた紫耀が立ち上がる。

紫耀「そろそろ帰ろっかな」

あなたの下の名前は紫耀を見つけると、安心したように笑った。

あなたの下の名前「紫耀!」

紫耀「んー?」

あなたの下の名前「迎えに来てくれた?」

紫耀「最初からいたよ笑」

あなたの下の名前「あ、そっかあ」

その返事に、みんなが笑う。

編集長「じやあ平野、頼んだぞ」

紫耀「任せてください」

海人は静かに立ち上がる。

海人「荷物、持っていきます」

紫耀「ありがとう」

海人はあなたの下の名前のバッグを渡しながら、小さく笑った。

海人「あなたの下の名前さん、また明日」

あなたの下の名前「うん、ばいばーい」

少し眠そうに手を振る。

海人も笑顔で振り返した。

でも胸の奥では、言葉にできない気持ちが静かに揺れていた。



店を出ると、夜風が頬をなでた。

あなたの下の名前はふらっとよろける。

紫耀「危なっ」

自然に肩を支える。

あなたの下の名前「お、ありがと〜」

紫耀「歩ける?」

あなたの下の名前「歩けるよぉー」

そう言った次の瞬間。

紫耀の腕にそっと寄りかかった。

紫耀は少しだけ笑う。

紫耀「今日は甘えん坊だね」

あなたの下の名前「……だめ?」

紫耀は首を横に振る。

紫耀「全然」

そのまま歩幅を合わせて歩く。

あなたの下の名前は安心したように紫耀の腕に寄り添った。



紫耀のマンション

部屋へ入ると、あなたの下の名前はソファへ座った。

紫耀はキッチンで水を入れた。

紫耀「はい。」

あなたの下の名前「ありがとね〜」

冷たくなったカップを両手で包み込む。

あなたの下の名前「なんか……幸せ」

紫耀「急に?」

あなたの下の名前「今週はデートもしたし、無事お仕事も終わったし、みんなで笑ってた」

あなたの下の名前「最後は紫耀が迎えに来てくれてぇ」

紫耀は何も言わず、あなたの下の名前の隣へ座った。

あなたの下の名前は自然に肩へもたれる。

紫耀「今日は泊まる約束だったもんな」

あなたの下の名前「うん!」

あなたの下の名前「初めてだね笑」

紫耀「そうだね笑」

その一言だけで、お互い少し照れくさくなる。



テレビをつけることもなく、二人で他愛ない話を続ける

初めて会った日のこと。

編集部で失敗した日のこと。

笑ったり、懐かしんだり。

気付けば時計は日付を越えていた。

あなたの下の名前「もうこんな時間だ」

紫耀「眠い?」

あなたの下の名前「ううん、大丈夫」

でもその直後、小さなあくびがこぼれる。

紫耀は思わず笑った。

紫耀「眠いんじゃん」

あなたの下の名前「見なかったことにしてぇ」

紫耀「無理だよ笑」

二人で笑う。



寝る前。

部屋の明かりを落とす。

あなたの下の名前「紫耀おやすみ〜」

紫耀「あなたの下の名前」

あなたの下の名前「ん?」

紫耀はあなたの下の名前の腰を寄せ、優しく頬に触れた

紫耀「大好き」

その言葉と一緒に、そっと唇を重ねる。

短くて、優しいキス。

離れると、あなたの下の名前は照れながら笑った。

あなたの下の名前「今日、何回幸せって思ったか分からない。」

紫耀「俺も」

あなたの下の名前「おやすみ」

紫耀「おやすみ」

二人は同じベッドに入り、穏やかな気持ちのまま目を閉じた。

恋人になって初めて迎える夜。

それは、特別なことをしなくても十分に幸せだと思える、忘れられない一日になった。

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