金曜日。
編集部。
岸「よーし!撮影も終わったし!」
じん「今日は編集長のおごりだー!」
編集部中が拍手に包まれる。
編集長「この前の撮影、お疲れ!」
あなたの下の名前「やった!」
海人「久しぶりの飲み会ですね!」
紫耀はそんなみんなを見ながら笑う。
紫耀「今日は仕事の話無しなあ」
岸「了解でーす!」
⸻
居酒屋。
「かんぱーい!」
グラスが重なり、にぎやかな時間が始まる。
あなたの下の名前も久しぶりにお酒を口にした。
海人「あなたの下の名前さん、最近飲んでますか?」
あなたの下の名前「最近はそんなに飲んでないかなあ」
岸「じゃあ今日は飲もう!」
じん「編集長のおごりだから!」
編集長「ほどほどにな?笑」
⸻
一時間後。
海人「あれ?」
岸「あなたの下の名前?」
あなたの下の名前はテーブルに頬杖をついたまま、ぼんやりと海人を見ていた。
あなたの下の名前「髙橋くーん」
海人「はい?」
あなたの下の名前「お水」
海人「あ、はい!」
慌ててグラスに水を入れる。
あなたの下の名前は両手でコップを持つと、こくこくと飲んだ。
あなたの下の名前「ぷはあ」
じん「酔うとこんな感じだったっけ?笑」
海人「いつものあなたの下の名前さんと全然違いますね笑」
あなたの下の名前は海人の袖をちょん、とつまむ。
あなたの下の名前「髙橋くん」
海人「どうしました?」
あなたの下の名前「あんがと!」
にこっと笑う。
その無邪気な笑顔に、海人は思わず固まった。
海人(かわいすぎる…)
すぐにその考えを振り払う。
(何考えてるんだ。)
目の前には、彼氏がいる。
そう分かっているからこそ、胸が少しだけ苦しくなる。
⸻
その様子を見ていた紫耀が立ち上がる。
紫耀「そろそろ帰ろっかな」
あなたの下の名前は紫耀を見つけると、安心したように笑った。
あなたの下の名前「紫耀!」
紫耀「んー?」
あなたの下の名前「迎えに来てくれた?」
紫耀「最初からいたよ笑」
あなたの下の名前「あ、そっかあ」
その返事に、みんなが笑う。
編集長「じやあ平野、頼んだぞ」
紫耀「任せてください」
海人は静かに立ち上がる。
海人「荷物、持っていきます」
紫耀「ありがとう」
海人はあなたの下の名前のバッグを渡しながら、小さく笑った。
海人「あなたの下の名前さん、また明日」
あなたの下の名前「うん、ばいばーい」
少し眠そうに手を振る。
海人も笑顔で振り返した。
でも胸の奥では、言葉にできない気持ちが静かに揺れていた。
⸻
店を出ると、夜風が頬をなでた。
あなたの下の名前はふらっとよろける。
紫耀「危なっ」
自然に肩を支える。
あなたの下の名前「お、ありがと〜」
紫耀「歩ける?」
あなたの下の名前「歩けるよぉー」
そう言った次の瞬間。
紫耀の腕にそっと寄りかかった。
紫耀は少しだけ笑う。
紫耀「今日は甘えん坊だね」
あなたの下の名前「……だめ?」
紫耀は首を横に振る。
紫耀「全然」
そのまま歩幅を合わせて歩く。
あなたの下の名前は安心したように紫耀の腕に寄り添った。
⸻
紫耀のマンション
部屋へ入ると、あなたの下の名前はソファへ座った。
紫耀はキッチンで水を入れた。
紫耀「はい。」
あなたの下の名前「ありがとね〜」
冷たくなったカップを両手で包み込む。
あなたの下の名前「なんか……幸せ」
紫耀「急に?」
あなたの下の名前「今週はデートもしたし、無事お仕事も終わったし、みんなで笑ってた」
あなたの下の名前「最後は紫耀が迎えに来てくれてぇ」
紫耀は何も言わず、あなたの下の名前の隣へ座った。
あなたの下の名前は自然に肩へもたれる。
紫耀「今日は泊まる約束だったもんな」
あなたの下の名前「うん!」
あなたの下の名前「初めてだね笑」
紫耀「そうだね笑」
その一言だけで、お互い少し照れくさくなる。
⸻
テレビをつけることもなく、二人で他愛ない話を続ける
初めて会った日のこと。
編集部で失敗した日のこと。
笑ったり、懐かしんだり。
気付けば時計は日付を越えていた。
あなたの下の名前「もうこんな時間だ」
紫耀「眠い?」
あなたの下の名前「ううん、大丈夫」
でもその直後、小さなあくびがこぼれる。
紫耀は思わず笑った。
紫耀「眠いんじゃん」
あなたの下の名前「見なかったことにしてぇ」
紫耀「無理だよ笑」
二人で笑う。
⸻
寝る前。
部屋の明かりを落とす。
あなたの下の名前「紫耀おやすみ〜」
紫耀「あなたの下の名前」
あなたの下の名前「ん?」
紫耀はあなたの下の名前の腰を寄せ、優しく頬に触れた
紫耀「大好き」
その言葉と一緒に、そっと唇を重ねる。
短くて、優しいキス。
離れると、あなたの下の名前は照れながら笑った。
あなたの下の名前「今日、何回幸せって思ったか分からない。」
紫耀「俺も」
あなたの下の名前「おやすみ」
紫耀「おやすみ」
二人は同じベッドに入り、穏やかな気持ちのまま目を閉じた。
恋人になって初めて迎える夜。
それは、特別なことをしなくても十分に幸せだと思える、忘れられない一日になった。
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!