第5話

🌙
42
2019/10/16 07:38
    ピピピピ

    ピピピピ


「んーもう朝か」

部屋にうるさく鳴り響く目覚まし時計を止める。



「美鈴~!学校遅れるわよ!」

「もう起きてる!」

1階から声をかけてきたお母さんにそう返して、私はベットから体を起こす。

そして、階段をおりてリビングに入り、ダイニングテーブルの席に着く。

食パンをもそもそと食べていると、

「そういや、美鈴、今年も行くの?花火大会」

と、お母さんが聞いた。




そうか、


もうそんな時期か。


確かにカレンダーを見るともう7月で、気温もだんだんあがって来ていた。

ニュースも熱中症の注意を呼び掛けたりしている。



花火大会__

5年前、小学4年生のあの日、私は初めて会った男の子に恋をした。

     
        『大星くん』


あの時から1度も会ったこともない。

毎年花火大会に行っても会ったことは1度もなかった。

同じ学年の子には『大星くん』なんて人は1人もいなかった。

もう、会えないのかななんて思いつつ、まだ私は彼の事が忘れられないでいた。



「うん。行くよ」

「そう。もう受験生なんだから遊ぶのもほどほどにね」

「分かってるよ」

私はそう言って立ち上がり自分の部屋に戻った。





運命なんてもうないと思ってた___





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