第4話

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2019/10/15 22:25
男の子に手を引かれ、私は人の列から抜け出した。

「あ、ありがとう…」

私は戸惑いながらもそう言う。

「うん…」

男の子も気まずいのだろうか。

少し頬を赤らめながらそう言った。

それからお互い沈黙が続いた。



「えと、君ってさっき、金魚すくい屋にいた子だよね?」

沈黙を破ったのは男の子だった。

「うん…」

人見知りの私は小さい声になりながらもそう返す。

「じゃあ、これ」

男の子はそう言うと、私に金魚の入った袋を差し出してきた。


大きな赤い金魚が入った袋だった。


「え、いいの…?」

私は戸惑う。

男の子は頷いた。

「あ、ありがとう…!」

私は多分その時、最高の笑顔だった気がする。


すると、男の子は何故か顔を真っ赤にさせて、

「君の名前は?」

と私に聞いた。

「安藤美鈴」

「美鈴ちゃんか~」

そういって男の子が何かを言おうとしたとき、

「大星!こっちよ!」

男の子のお母さんと思われる人がこっちにきて、男の子の手をひいて連れていこうとした。

「あ、じゃあ、またね!」

「うん、またね…!あ!君の名前は?」

私は慌てて男の子に聞く。



と、その時花火が始まった。

「××××大星たいせい!」

男の子の声と花火が重なり、名字を聞き取ることが出来なかった。

でも、


         『大星くん』









この日が君と私の『記念日初恋の日』__



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