──────りうらside
冷凍したケーキを箱に詰め、クッションに緩衝材を入れてダンボールの蓋を閉めるないこさん
小さくふぅ……と息を整えたのがわかる
大人組はそう言いつつ、やっぱりどこか嬉しそうな雰囲気は隠しきれていない
大人組が俺らのところにダンボールを持って近づいてきた
アニキはそう言ったあと、ケーキ屋の看板をCLOSEにして3人で家から出ていく
家には子ども組3人だけだ
俺らは2階のリビングの真ん中に集まって、少し前世を懐かしむ
塗り替えられた壁
俺らが持っていたものとは違う家具
そして何より──────笑顔が絶えない家
ほとけっちがぼそっと言った言葉で、俺らは急にシーンと静まる
あの日の夜、騒いでいた俺らとは正反対に静かだ
俺らはそう言って顔を見合わせる
実は俺らが生まれ変わった意味
粗雑な神様いわく、「お前らには生きている間に『誰かからの愛情』が全然足りてないな」
「誰かに拾ってもらってちょっとでも愛情を受け取ったら、戻ってこい」
「ま、俺が勝手に『愛情もらったな〜』って思ったらこっちに呼び戻すから、じゃ☆」
……って言うから……(((
子ども組3人で数分黙って色々考える
俺は1人、今日まであったことを思い出していた
「保護」してもらって……プリンアラモード食べて……いむしょうと再会して……シュークリーム食べて……
……スイーツばっかりじゃん……w
「スイーツ作りたい!」って言ったはいいものの、大人組みたいにすごいものを作れる気はしないため、何を作るかで3人で話し合う
……とは言っても
……そう、なんだよね
俺ら……何故か「スイーツに関する記憶だけない」んだよね……
当然ながらいむしょうは首を横に振る
とは言いつつ、いつまでも座っていても「タイムリミット」が近づくだけなので、俺らは勝手に1階の冷蔵庫とかが置いてある部屋に移動した
パカッと冷蔵庫を開けると、季節のフルーツがカットされたものやら生クリームやらがいっぱい入っていた
俺らは思わず目を輝かせる
しょうちゃんが今にも食べちゃいそうな勢いだったので、俺は慌てて冷蔵庫を閉じて他を見渡す
砂糖とか飾り用の……銀色の小さくて丸いなんかキラキラしたやつ、コーンフレークとかチョコペンもあった
材料を見てみたけど、特に思いつくものは無い
う〜……どうしよ……
悩む俺とは反対に、しょうちゃんはもう思いきった様子でどこかから大きくて透明な器を3つ持ってきた
俺らはそう言って、勝手にだけど冷蔵庫から生クリームやフルーツをたっくさん取り出した
初兎side
美味いものを詰めたら美味くなるやろ!((
っていう大胆な発想の元、僕は透明なきらきらした器にコーンフレークを敷く
そして不慣れな手つきで生クリーム、いちご、ブルーベリーと隙間を埋めるようにフルーツいっぱいでよく分からないものを作っていった
少し細長めのその容器はどんどん埋まっていき、最後に生クリームを悠くんたちの見よう見まねでてっぺんにたっくさん絞ってみた
そして飾りにいちごを乗せる
僕のは生クリームメインだったけど、りうちゃんのはフルーツメイン、いむくんのは何故かコーンフレークメインのよく分からない美味しそうなものだった
脳内で何故かアナログ時計の秒針がカチカチと動く音がする
やばい……もう時間が無い……
あ、紙ないやん
いむくんの機転の利いた?アイディアで高速で旗を完成させ、それぞれのなんか美味そうなものの上に刺す
そしてそれを急いで冷蔵庫にしまった
片付けまで終わると僕らはどっと疲れて、作業スペースの真ん中でぐったりと座り込む
心做しか脳内の時計の秒針の速さが速くなっている気がした
りうちゃんがそういったのを聞いて
僕は生まれ変わる前、神様に言われた「生き返ったらするべきこと」を急に思い出す
「お世話になった相手に、どんな形でもいいから最後は感謝を伝えてこい」って
そう、どこか幸せそうな3人の声が聞こえた4秒後
もう彼らの姿は跡形もなく、この世界から姿を消していた
たった一つ、冷蔵庫に「なんか美味そうなもの」を残して──────
──────本日午後8時・本物の最終話を「旧アカウント」で公開
売れ残りしかないケーキ屋の片隅で [完]















編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。