第13話

第友話 するがディテクティヴ 其の肆
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2023/11/03 04:09
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一度探偵社に戻り、二人の保護をした私は、阿良々木先輩に連絡して、迎えにきてもらうことにした。
谷崎潤一郎
谷崎潤一郎
この子達が、あなたさんの妹さん達……
阿良々木月火
阿良々木月火
そうだよ。
私たちがお姉ちゃんの妹だよ
月火ちゃんはお茶を飲みながら淡々と説明する。
隣の火憐ちゃんは、ものすごく燃えていた。
阿良々木火憐
阿良々木火憐
ファイヤーシスターズ実戦担当、阿良々木火憐と
阿良々木月火
阿良々木月火
ファイヤーシスターズ参謀担当、阿良々木月火でーす
神原駿河
神原駿河
火憐ちゃん、月火ちゃん。
二人で乗り込むのは危ないだろう。
今起きている問題は、二人の力で解決できるような簡単なものじゃないんだ
阿良々木火憐
阿良々木火憐
だからって、正義の味方が黙って見ているわけにもいかないよ、神原先生
中島敦
中島敦
正義の味方…?
敦が首を傾げると、火憐ちゃんはそうとも!と自慢げに答えた。
阿良々木月火
阿良々木月火
まあ今回のは正義の味方でもなんでもなく、妹だからここに来たんだけどね
宮沢賢治
宮沢賢治
と言いますと?
阿良々木月火
阿良々木月火
言いますとも何もないよ。
当たり前でしょう?お姉ちゃんを迎えにきた、それだけのことだよ
すると、探偵社のドアがガチャリ、と開いた。
たくさんの駄菓子を抱えた男が入ってきたのだ。
其の男は満面の笑みでこう言う。
江戸川乱歩
江戸川乱歩
いやぁいい買い物ができたよ!
これでしばらくは困らないね
其の声に、私は勿論、火憐ちゃんと月火ちゃんも反応する。
そして3人揃って、同時にこう聞いた。
神原駿河
神原駿河
阿良々木先輩か!?
阿良々木火憐
阿良々木火憐
兄ちゃん!?
阿良々木月火
阿良々木月火
は?お兄ちゃん?
江戸川乱歩
江戸川乱歩
…あー、違うよ。
僕は名探偵。吸血鬼じゃない
名探偵____ということは、話に聞いていた世界一の名探偵か。
彼は江戸川乱歩と名乗った後、オフィスチェアに身を預けるように座り、駄菓子を食べ始めた。
然し、阿良々木先輩の吸血鬼を知っているとは……名探偵だからこその名推理なのか。
中島敦
中島敦
乱歩さんは、わかりませんか?
あなたさんの居場所
江戸川乱歩
江戸川乱歩
僕にわからないことなんてないよ。
それくらい突き止められるさ。
中島敦
中島敦
じゃあ____
江戸川乱歩
江戸川乱歩
今から10秒後
中島敦
中島敦
へ?
神原駿河
神原駿河
…?
乱歩さんがそう言うと、一人の女性が入ってきた。白のワイシャツに、黒のロングスカートの、蝶々の耳飾りが特徴的な女性だった。
すると突然、私とファイヤーシスターズは国木田さんたちに外に連れ出された。彼らはどこか険しそうな表情をしている。然し、敦くんだけを置いていってよかったのだろうか?
谷崎潤一郎
谷崎潤一郎
敦くんには申し訳ないけど、あの人は手に負えないから…
谷崎さんは苦笑いをしてそう答える。
手に負えない____というのは、どういうことなのだろう。まあ、探偵社は変わった人たちが集まると聞くし、そういう人がいるのも普通なのだろうが。
すると、誰かが階段を上ってくる足音がした。
どこか規律的で、どころか図々しいような気配は全くない。
羽川翼
羽川翼
こんにちは、神原さん
神原駿河
神原駿河
…羽川先輩?
羽川翼
羽川翼
阿良々木くんは、ちょっといざこざに巻き込まれちゃってるみたいだから、代打で私がやってきたんだ。
谷崎潤一郎
谷崎潤一郎
じゃあ、あなたが彼女たちの迎えを…
羽川翼
羽川翼
はい。
ご迷惑をおかけしてしまい、すみませんでした。
羽川先輩はそう言って頭を下げた後、火憐ちゃんと月火ちゃんの頭を優しくではあるがコツンと叩いた。
阿良々木火憐
阿良々木火憐
あぅっ
阿良々木月火
阿良々木月火
あぅっ
羽川翼
羽川翼
ダメだよ、二人でこんな危ないことをしちゃ。
確かにお姉さんが心配なのはわかるけれど、だからって、自分たちも心配されちゃったら元も子もないじゃない。
羽川先輩にそう注意された二人は、少し落ち込んだ。
まあ、羽川先輩のいうことはいつも正しいから、正義の味方にとってはぐうの音も出ないのだろう。
宮沢賢治
宮沢賢治
なんか、お母さんみたいですね
羽川翼
羽川翼
私は違うよ。
でも、叩いたら、叩いた分だけの納得できる理由を話してあげなきゃ、ダメだから。
すると今度は、乱歩さんの方へくるりと体の向きを変えた。
羽川翼
羽川翼
江戸川乱歩さん…ですよね。
江戸川乱歩
江戸川乱歩
うん、そうだよ
羽川翼
羽川翼
わっ、声がもう阿良々木くんだ…
神原駿河
神原駿河
やはり羽川先輩も驚くか…
羽川先輩は、乱歩さんにこう言った。
羽川翼
羽川翼
実は、貴方にお話があってきたんです。

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