前回のあらすじ
魔法使いのローブや、旅に必要な道具を揃えたハルナとルイ。
辺りが暗くなったため、セイリスが常連の宿へ向かう途中、貴族たちが集まっている華やか場所に興味を持った。
そこは奴隷市場であり、鎖に繋がれた人々の痛々しい光景を見てしまった。
だが、1人の女の子と目が合い、助けようとする・・・。
銀髪のキツネ耳としっぽを持つ、あの小さな女の子を助ける。そう決まった時には、セイリスとリアナを置いて、既に飛び出していた。一切の迷いなくーー
2人は、綺羅びやかに飾り付けられた門をくぐろうとしたが、門番に追い返されそうになった。
その言葉にカッとしたのか、ハルナが鋭い目線で門番を見つめる。
華麗にローブを脱ぐと、美しい宝石やブローチで装飾された黄色のドレスを着たハルナが姿を現した。
その姿は、国王の娘と言われても違和感がないほどの高貴なものだった。
その姿を横目に、ルイは彼女を守るため、スッと一歩前に出る。
ドスの効いた低い声で言い放つと、門番は恐怖のあまり、思わず後ずさりし、引きつった声を漏らした。
2人は奥へと進むと、そこには大勢の貴族や高級商人たちが整然と椅子に座っており、普段とは異なる張り詰めた空気が漂っている。
横に空いている席を見つけたので、貴族としても遜色のない所作で、静かに椅子に腰を下ろした。
だが、ハルナの雰囲気ゆえか、周りがざわつき始めた。
その状況を見て、ハルナは・・・
結構慌てていた。
そうこうしていると、司会者のような男性が、壇上に上がった。
朗々とした声で呼びかける。
会場が盛り上がってきた。
言葉を一息おいて、会場を見渡すと――
遂に、オークションが始まった。
壇上には、鎖につながれた人々が順に並ばされていた。目を伏せる者、怯えた目で周囲を見回す者――皆、ただ黙って運命を受け入れていた。
奴隷たちは一人、また一人と壇上に立たされ、値段がつけられては次々と落札されていった。周囲のざわめきや競り声にかき消されるように、彼らの表情からは感情が薄れていく。
ただ静かに、自分の順番を待つしかなかった。
その光景を見ていたハルナとルイは、全員を助けたい気持ちを必死に抑えていた。
全員を助けてしまうと、変に目立ってしまい自分たちの身の保証ができなくなること、奴隷制がこの世界の文化として根付いている以上、力でねじ曲げることは可能でも、ハルナとルイが望むやり方ではなかった。
そして・・・遂にケモミミ少女の番がやってきた。少女が俯きながら壇上の一番前に立たされると同時に、司会の通った声が会場に響き渡る。
少女が少し顔を上げた。白い髪が、ランタンの光に反射して美しく輝く。
会場に入札の怒声が響き渡っていく。その光景はまさに戦場のようだ。
会場は過去一番の盛り上がりを見せ、次々と値段がつり上がっていく。
遂に金貨4000枚ほどまで上がった。
だが、ハルナはまだ仕掛けない。
ここで2倍の金額。会場は一気に静まり返った。
この金額を払える人間は、ここには存在しないだろう。だが・・・。単語
まさかのここで小国の国家予算並の入札価格。
ここには、王族に仕えるような貴族も来ていたのだ。
万事休す、そう思われたが…ハルナは王族のような、余裕の笑みを見せていた。
何か策があるのか。それかただ無謀の賭けをしているだけなのか。一体、どっちなのか・・・?














編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。