「…と、その前に殿下、これを見てくれ」
リアン団長は封筒をテーブルに置いた
「これは?」
「ルシアが遺した手紙だ」
リアン団長は封筒へ視線を落とした。
「……これの一部を、読み上げるから聞いてくれ」
僕が頷くとリアン団長は話し始めた。
『騎士になったのは、大層な理由じゃなかった。
ただ村の外に出たくて外の世界で生きたかった。逃げ出した後騎士って選択肢しかなかった訳だが、今となっては良かったのかもな』
「これが、ルシアが遺した手紙の一部だ」
「一部…ですか」
「今全部見せるよりも、あいつの話を振り返りながらの方がいいと思ってな」
そしてリアン団長は少し寂しそうに笑った
「…にしても、あいつが騎士になったことを後悔してなかったのが今となっては数少ない救いの一つかもな」
「逃げ出した…?」
「そこについては、俺も後から知ったんだ」
「ルシア様は、自分から村を出たんですか?」
「ああ。15の時に出た…いや、逃げ出したんだ。あの村から」
「これから、そのことについて順を追って話そう」
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あの日、村長の屋敷に連れて行かれてから僕の生活は変わった。
村の周りの人間はお役目を果たすことにしか言及しなくなった。
僕に出来る方法で調べて分かったことは二つだけ。
この村の土地神は『村の外の人間の血が入った人間を喰らう』ということ。
そして僕の父は旅人だったらしい。そして、僕が産まれる前に亡くなったらしい。
もう一つは、土地神は『女の見た目をした人間を好む』ということ。これに関しては村長や村の人間の話から導き出した予想でしかないけれど。
明日は、儀式が行われるらしい。だけど僕は死ぬ気はない。
明日この村を出る。そして、二度とは戻らない。
32年前___ルシア・アリアトリス15歳の日記から抜粋
移行後最初の更新です。
今後ともよろしくですお願いします











編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!