葛葉side
あなたの名前がましろさんを見送りに行ってから数十分経ったが、
未だに俺の部屋に帰ってこない。
さすがに遅すぎると思い、庭に出た。
しかし、そこにはましろさんの姿も、
あなたの名前の姿も無かった。
中に戻ってから召使いの人に尋ねたが、収穫はなし。
何なら玄関にあなたの名前の靴はなかった。
急いで部屋に戻ってあなたの名前のスマホに着信を入れるが、
俺のベッドの上に、
あなたの名前のスマホがあることを確認できただけだった。
そうだと信じて、とりあえず帰りを待つことにした。
あなたの名前side
目が覚めたのは、一面真っ白な部屋だった。
ベッドも真っ白であり、扉が確認できなかったが、
壁をなぞっていくと、
人1人が通れるほどの長方形のくぼみを見つけた。
きっと、ここが扉なのだろう。
そこを押したり横にスライドしてみたりするが、
進捗はなし。
あの時と違う点を挙げるとするなら、記憶がある点だ。
気を失う直前、目覚めたら記憶がリセットされていて⋯⋯
なんてことを想定したが、違った。
何もすることができず、ベッドの上で座っていると、
扉が開いた。
ドアノブが外側にのみ付いているらしい。
扉を開いたままにした状態で、
施設員はこちらに近づいてきた。
いつものお姉さんではない、知らない男。
青髪で短髪、四角の眼鏡を掛け、
白衣を羽織っている男だった。
質問をするが、返事がない。
答える必要がないと判断したらしい。
脈絡もなくそんなことを言われては困る。
情けない声が出てしまった。
強がってみせるが、内心怯えきってしまっている。
強い薬なんて使われてしまったら、
今度こそ、葛葉たちのことを忘れてしまうかもしれない。
男はしばらく私を見つめた後、
背を向けて歩き去っていった。
⋯⋯でも、あの声、どこかで聞いたような?
こんばんは。
閥といいます。
施設員は誰なのでしょうか。
青髪に白衣といったらあの方しかおられませんね。
次もよろしくお願いします!












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。