第3話

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2025/12/28 05:00 更新
いつもと変わらない日々。
最初は心底不快だと感じていた膝枕も今では当たり前のようになってきている
私の膝に頭を預けているシャルは昨日巻いた包帯の糸屑をいじっていた。


シャルナーク
あなた
シャルナーク
今日一緒にお風呂入ろ

.
急に何
シャルナーク
包帯濡らしたくないから見張ってよ
.
それくらい自分でやりなよ
シャルナーク
え〜
シャルナーク
オレはダーリンがいいんだけどな
その姿はまるで子供が駄々を捏ねるようだった。
理屈が全て私基準なあたり、彼は相当精神年齢が低いのだろう。

私があきれて立ちあがろうとするとシャルは即座に私の腰を強く抱いた。
シャルナーク
どこ行くの
.
水飲みに
シャルナーク
じゃあオレも
.
いや来なくていい
シャルナーク
よくない
 何かのギャグなのかこれは。

私がどれだけ水を欲しているかも知らないシャルはそのまま私の服に顔を埋める。
シャルの頭を撫でる私の腕には少し前に彼がつけた噛み跡が薄い桃色に染まっていた



シャルナーク
ダーリンの匂いって落ち着くよね

.
犬?
シャルナーク
犬の方が健全かも
笑いながら言うのが一番タチ悪い。


ちくちく
と時計の針が動く音がする。
テーブルの上には見たこともないような薬瓶や空き瓶が転がっていて、私がそれを片付けようとするとシャルはひょいっと起き上がる。

シャルナーク
あ、それ触んないで
.
危ないから片付けちゃおうと思って
シャルナーク
大丈夫
量も時間も決めてるし

そう言って目の前のコイツは胸を張る。
その基準が信用できないだけだ。
シャルナーク
オレダーリンがいる時しか飲まないって決めてるんだよね
.
…頭おかしいんじゃない
シャルナーク
えー?安全じゃん
シャルは私の手を取って、自分の頬にすりっと擦り寄せる。
ああ、死んだおじいちゃんもこれくらい肌が冷たかったな、なんて場違いな事を考えてしまう


シャルナーク
ねえ、結婚したらさ
また来た。コイツは自分が明日生きてるかも分からないのに将来のことを語るのが好きなようだ
シャルナーク
朝起きたらダーリンがいて、ごはん食べて、出かける時も一緒で
.
それ通学路が一緒なだけでは
シャルナーク
細かいこと言わない
しかも彼の夢はみんなの思う当たり前のようなものばかりだった
当たり前に学校に行って、当たり前のように学校に行く。
シャルナーク
夜も一緒に寝て、僕が変なこと考え始めたらダーリンが止める

.
変なことってどんなこと

シャルナーク
エロいことだけど
.
なんで私がそんなこと
シャルナーク
止めてくれるでしょ?

最終兵器の上目遣い

私も彼のことはよく分かっているつもりだったがそれは相手もそうらしい
私は視線を逸らしながら話し出す。

.
…ちゃんと自分で落ち着く努力もしなさい
シャルは一瞬きょとんとして、それからにこっと笑う。
シャルナーク
してるよ
.
どこが
シャルナーク
ダーリンの声聞く
違うそうじゃない。
シャルナーク
偉いでしょ?
.
よくはない
シャルナーク
でも嫌じゃない
決めつけ。
でも完全に外れてもいないのが悔しい

シャルは満足そうに私の隣に座り錠剤をかき込む。
シャルナーク
約束しようよ
.
…なにを

シャルナーク
ずっと一緒にいるって
その言い方だけは、冗談じゃない。

分かっているんだ
本当は。






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