第11話

10 . からっぽなハコに心を
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2026/01/13 01:16 更新

  筆談表記 ... 【   】
  手話表記 ... 『   』

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  あなたの英語 side


inm
 …【どう、だった?】 
あなた
 【楽しそうだったよ】 
あなた
 【ほんとに、すっごく】 



  楽しそうに弾いてる君を見て、私も楽しかった
  嘘じゃない、確かに楽しかったんだ、けど…

  どうしても、「うらやましい」なんて
  思ってしまったのも、事実

  そんな自分が惨めに感じるなんて


inm
 【ね、汐瀬さんってベース出来る?】 
あなた
 【一応、やってはいたかな】 



  何故急にそんなことを聞くのだろう、なんて
  少しだけ落ち込んだのが顔に出たかな、なんて

  次の瞬間にはもう思わなかった


inm
 【じゃあやろうよ】 
inm
 【一緒に、バンド】 
あなた
    



  耳の聴こえない私が、音楽?

  そんな中途半端なこと、私には出来ないよ…


あなた
 【むりだよ、音聞こえないし】 



  ああ、こうやって消極的になってしまうのも
  中3の頃からなのかな、とか

  誰も悪くないのに、
  今だけ誰かに責任を擦りつけたくて仕方ない

  もどかしい、とはこう言う気持ちを指すのだろう


inm
 【出来るよ】 



  その言葉に、はっとした

  別に彼の言葉が特別響いたワケじゃない、けど

  まだやってみてもないのに諦めるのは
  どうなんだろう、って思っただけ


  …誰かに、私がまだ音楽をやって良いって、
  認められたかっただけなのかもしれない


あなた
 …【ほんとうに?】 
あなた
 【私まだ音楽できるかな】 
inm
 【耳を理由に諦める必要は無いよ】 
inm
 【だってバッハ? とかも
  耳が聞こえないらしいじゃん】 



  多分ベートーヴェンの事を言いたいのかな

  説得をする際に具体例を出すのが
  出会って間もないクセに彼らしいな、
  って思ったり


あなた
      
あなた
 【伊波さんが、私でいいなら】 









inm
 【いいに、決まってる】 
inm
 【汐瀬さんだから一緒に音楽をやりたい】 



  彼と私の間に立ちはだかる大きな障害壁が一つ、
  崩れて溶けた音がした











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