NO siten
総統室の窓から、暖かい春を告げる風が吹き込む
机に肘を付き、軽く顔に手を当てる総統
ゆっくりと吐き出した息は、何か物足りなさを感じているようだった
……この会話を聞いていると、後から部屋に入ってきた者の方がよっぽど総統に見える
甘党5歳児と、苦労人書記長……
……なんか可哀想()
書記長がケーキを1口食べると、間もなく喋り出す
呆れたような顔をしている書記長
何かを思い出し、胸元のポケットをゴソゴソと探る
彼が取り出したのは、一通の手紙だった
黒い封筒に、赤い十字架マークのシール
これは、この世界で宣戦布告を意味する封筒だった
総統は、書記長のことを横目に、封筒を開封する
内容は、ざっとこのようなもの
wr国総統へ
やぁ、宣戦布告をさせて頂くぞ☆
×××年×月××日に我々の軍を率いり、そちらに向かわせる
楽しみにしとけ☆
君のよーく知ってる人物より
…ちょっと脳みそがお花畑過ぎて引いてしまうレベルだな
しかも、日付は今日
彼らは苦笑いを浮かべている
こんなに頭がお花畑の人物は、彼らがよーく知っている限り……
前総統、あなたの下の名前(カタカナ)
彼女は戦争が大好きだったが、総統という理由で参加が不可能であった
丁度その時
『場内に侵入者!直ちに警戒せよ!』
インカムから、侵入者の報告が告知された
総統が紅茶を1口口に含む
窓の外から、誰かが書記長の独り言に応える
そう聞こえた瞬間、閉じていた窓がパリィンと割れた
書記長が思わず、その人物に怒鳴りかける
彼らは呑気に侵入者と会話をしている
ありがとうございます……!
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。