カレンは、誰にでも「くん」付けで呼ぶ癖がある。
それはたぶん、大人達が私のことを「ユキ君」と呼
ぶからだと思う。
そういってカレンは、苦労して作ったであろう、花
びらが半分ほど散ってしまった花冠をアヤに手渡し
た。アヤの雰囲気は、さっきまでの弾けた感じでは
なく、穏やかな感じになっていた。
「友だち」。私とカレンは「友だち」なのか。
カレンは「友だち」だと思っていそうだけれど…
私は、年が離れ過ぎていて、あまり実感できない。
妹、のほうが近いと思う。
それなら、私とアヤは「友だち」なのか。
分からない。友だちって、分からない。
カレンは無邪気に笑った。
陽は傾きはじめ、一層きらきらと輝いていた。
私達は、夕陽を目指して歩きはじめた。
この人はカレンのお母さん。
私のことを「ちゃん」付けで呼ぶ唯一の人。
アヤの家へ案内している途中、アヤはそうつぶやい
た。見た目もそうだが、アヤが言っているのが雰囲
気や口調のことであるのは明白だった。
アヤの家は、もともと村の共通倉庫だった小屋を改
装して造られた。だから、普通の家よりは小さいほ
うだ。
家の前でくだらない言い争いをしていたら、中から低くて太い声が聞こえた。アヤのお父さんだ。

















編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!