第3話

花冠
4
2025/06/28 06:00 更新
アヤ
アヤ
えっと…はじめまして…?
カレン
カレン
はじめまして!カレンはカレンっていうのよ!
アヤ
アヤ
私は、アヤっていいます!
カレン
カレン
あや、じゃあ、あやくんなのね!
カレンは、誰にでも「くん」付けで呼ぶ癖がある。

それはたぶん、大人達が私のことを「ユキ君」と呼

ぶからだと思う。
カレン
カレン
あ、そうだ!これあげるのよ!
アヤ
アヤ
わあ、かわいい。ありがとう、カレンちゃん。
そういってカレンは、苦労して作ったであろう、花

びらが半分ほど散ってしまった花冠をアヤに手渡し

た。アヤの雰囲気は、さっきまでの弾けた感じでは

なく、穏やかな感じになっていた。
カレン
カレン
だって、おともだちだもんね!
ユキ
ユキ
「友だち」。私とカレンは「友だち」なのか。

カレンは「友だち」だと思っていそうだけれど…

私は、年が離れ過ぎていて、あまり実感できない。

妹、のほうが近いと思う。

それなら、私とアヤは「友だち」なのか。

分からない。友だちって、分からない。
カレン
カレン
ゆきくんの分も今度作ってあげるのよ!
カレンは無邪気に笑った。

陽は傾きはじめ、一層きらきらと輝いていた。
ユキ
ユキ
花冠作るの、成功したのってこれが「はじめて」でしょ
カレン
カレン
カレンは二回目も成功させてみせるのよ!
アヤ
アヤ
そんな大切なもの、もらってよかったの…?
カレン
カレン
また作ればいいのだ!
ユキ
ユキ
…ほらカレン、そろそろ帰らなきゃお母さんに心配されちゃうよ
私達は、夕陽を目指して歩きはじめた。
カレンの母親
カーレーンー!また今日もどこか行っちゃって!心配したんだから!
カレン
カレン
でも今日もカレンはぶじだったのよ
カレンの母親
明日は無事じゃないかもしれないでしょう!
カレンの母親
ユキちゃんいつもカレンを届けてくれてありがとうね!
カレンの母親
ゆきちゃん、また明日ね。
ユキ
ユキ
はい、また明日。
この人はカレンのお母さん。

私のことを「ちゃん」付けで呼ぶ唯一の人。
カレン
カレン
おかーさん、ゆきくんはゆきちゃんじゃなくてゆきくんなのよ
ユキの母親
カレン、ユキちゃんはユキ君だけどユキちゃんなのよ
アヤ
アヤ
…あの親子、そっくりだったね。
アヤの家へ案内している途中、アヤはそうつぶやい

た。見た目もそうだが、アヤが言っているのが雰囲

気や口調のことであるのは明白だった。
ユキ
ユキ
…カレンは、人をよく見てるから。
ユキ
ユキ
着いたよ、ここ。
アヤ
アヤ
ほえぇ、ここが私の家…!
アヤ
アヤ
なんか、家、大きくない?
ユキ
ユキ
?別にこんなもんだと思うけど。
アヤの家は、もともと村の共通倉庫だった小屋を改

装して造られた。だから、普通の家よりは小さいほ

うだ。
アヤ
アヤ
えー!前いたとこの倍以上だよ…?
ユキ
ユキ
それは流石に、嘘。
アヤの父親
アヤ、帰ったのか、おかえり。
家の前でくだらない言い争いをしていたら、中から低くて太い声が聞こえた。アヤのお父さんだ。
アヤ
アヤ
あ、お父さん。ただいま。
アヤ
アヤ
じゃ、ユキ、またね。
ユキ
ユキ
また明日。
アヤ
アヤ
引っ越し作業、終わった?
アヤの父親
終わるわけないだろう。こんなに広くて…。
アヤ
アヤ
あ、みて、この花冠。カレンって子にもらったの。
アヤの父親
そうか、よかったな。
アヤ
アヤ
ねーえー、ちゃんと見て!

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