詩織ちゃん(主人公)視点に戻ります!
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あの日から陽奈は来ていない。
今日でまるまる3日。
陽奈は、莉音たちに、
『しばらくは学校に来ない』と、
メールをしたらしい。
これで、優衣が落としやすくなった。
なんでって??
それは、、調子に乗った優衣が、昨日、
私を、
陽菜についていた子分たちを引き連れて、
いじめてくれたから。
例の『協力者』がバッチリ、撮っていたのだ。
私は優衣を含めた6人に、囲われているところを。
『協力者』が渡してくれたのは、昨日の様子を撮ったDVD。
私が頼んで、3枚も現像してもらった。
一枚は私が保管するよう。
もう一枚は、陽菜にあげる方。
最後の一枚は使う方。
優衣の両親はとても厳しい。
なんて言ったって、お母さんは小学校の先生。
お父さんは、役所で働いている。
『慈愛の精神と、自分を律する心』
これが、優衣の家の掟だ。
優衣のお母さんにこのDVDを見せれば……、、
優衣を落とすことは簡単なこと。
私が泣けば、娘よりも私を信じてくれる。
証拠もあるのだし。
私は『協力者』の不敵な笑みに合わせるように、
ニヤリと笑った。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!