坂本商店のドアベルが
からん 、と軽快に鳴る午後 。
木漏れ日に目を細めながら 、
一人の少女が " 世界一安全な店 "
とも言われるその店へ足を踏み入れた 。
シン「いらっしゃいませー」
現在 、店内にいるのはシンだけ 。
少女は少しキョロキョロと見渡したあと 、
その事実に気づいたようで少し肩を落とした 。
だが すぐに顔をあげると 、棚に並ぶ商品には
目もくれずレジで新聞を広げ暇そうにしている
彼へ歩み寄った 。
『おにぃさん 、こんにちは !!
店長さんに用があるんですけど 、今居ますか ?』
シン「店長 … あぁ 、坂本さんの事か 。
坂本さんならもうすぐ来ると思うぞ 」
『ほんとぉ ? よかった !! 』
少し舌っ足らずな喋り方に
シンは少しだけ気が緩む 。
ほっと胸を撫で下ろした少女は 、
「今日暑いしアイスでも買おうかな ~ 」
と年相応に目を輝かせ 、アイスケースを覗き込んだ
その様子を見ながら 、
シンはほんの少しだけ彼女の用件が何なのか
疑問に思う
シン(こんな小さい子が坂本さんに用 … ?
…… 少し気になるから 聞いてみるか)
そう思い いつものように
思考を読もうとした 、その瞬間 。
シン「……っ」(思考が読めない … !?)
まるで心だけがぽっかりと存在しないような 、
不気味な静けさ 。
坂本も心の中では無口だが 、
彼女は " 音 " 1つすら感じさせない
驚きに目を見開いた 、その時だった 。
バックヤードから
シーフードカップ麺の容器を持った
坂本が現れた 。
彼は 少女の後ろ姿を確認した瞬間
小さく息を飲む
坂本「 ……その姿 、まさかお前」
聞こえてきた低い声に 、
少女は弾かれたよう くるりと振り返る 。
『……やぁっと来た ~ 坂本くん遅いって』
刹那 、店内の空気がぴんと張り詰める 。
咄嗟に戦闘態勢を取るシンとは対照的に 、
坂本は酷く落ち着いた様子で少女へ声を掛けた 。
坂本「その声 … やっぱりあなたなのか ?
死んだと聞いていたが … 」
謎の少女と坂本が知り合いだったこと 、
それから死んでいたという認識に
事情の知らないシンは置いてけぼりにされる
だけどお構い無し 、と言ったように
少女は頬を膨らませぷんぷんと腕を組んだ
『坂本くん酷い !! 確かにあなたは死んだけど 、
あれくらいじゃ死なないよ ~ !! 』
坂本「 … 矛盾してるぞ」
意味の分からないことを口にする
" あなた " と呼ばれた少女 。
それでも坂本は動揺することなく 、
慣れたように会話を続けた
坂本「それより 、その姿はどうした ?
子どもの姿は動きが鈍るって 嫌がってただろ」
『鋭いねぇ 、流石だ !! 笑
実はちょっと困ったことになってて …』
少女 … あなたは困ったように笑って 、
ぽりぽりと頬を掻いた
『… この姿から 、元に戻れなくなっちゃった』
𝐍𝐞𝐱𝐭······▸












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!