第9話

臆病な"彼"と勇気のある"彼女"
115
2023/11/13 15:23
メテヲ
…………
メテヲ
巫女さん…綺麗…
メテヲ
こんな所あったんだ…
どうもメテヲでっす!
学校をサボって冒険中です。故郷には帰りたくないですからね…
巫女
お、綺麗な方…ここに来られるのは初めてですか…?
メテヲ
あ、はい。自分探し…みたいなことをしてまして…
巫女
貴方のような女の人はモデルとかどうですか?
メテヲ
あ…俺…男です。
巫女
…!?すみません!!綺麗でしたから…女の人だと…
メテヲ
いえいえ、全然間違えられることの方が多いので…慣れてます…
巫女
…自信を持って下さいね。綺麗ですから。
メテヲ
…ありがとうございます…
メテヲ
では俺は旅を続けます。
巫女
わかりました。
ぐさお
あの…
メテヲ
あれ?ぐさおさん!?
巫女
ぐさおを知ってるんですか?
メテヲ
は、はい。
巫女
そうですか…この子臆病なので…
ぐさお
…お母さん別に言わなくていいじゃん、
メテヲ
お母さん?!
巫女
期待はしてませんよ…
巫女
私は仕事があるので失礼しますね…
ぐさお
あの…
ぐさお
なんで…ここに…来たんですか…?
メテヲ
いや、その…自分探しに来てます。
ぐさお
…なら…メテヲさんの故郷に…行かせて下さい…
メテヲ
え!?…なんで…?
ぐさお
…私の勘が…
ぐさお
そこにいかないと…何も…変わらないと…思いました…
メテヲ
(もう…)
もう帰りたくないんだけどな…
色々と…あるから…それに…ぐさおさんに…
見られたくない…
メテヲ
分かったよ。
ちょっーと何言ってるのー俺ー!?
メテヲ
久しぶりに行ってみますかねー
俺…もう言うこと…聞かない…
ぐさお
……それなら…行きますか…
メテヲ
ここが、俺の故郷だよ。
ぐさお
結構…のどかな場所ですね…
メテヲ
田舎だからね〜
……
クスクス
……
アイツ、また来たよ…
ぐさお
ん?
ぐさお
なんか…へんな声が…
メテヲ
あはは…気にしないで…
だから来たくなかったんだよね〜
結構…辛いから…
ぐさお
………
ぐさお
ちょっと…そこの人…メテヲさんについて言ってるんですか?
メテヲ
えっ、ちょっ!
……
?なんだぁ…?女に彼女ができたのかぁ?
……
気持ちわりぃ
ぐさお
…質問…に答えて…下さい…
……
こいつ女みてぇで気持ち悪いだろ?
ぐさお
気持ち悪くはない…けど…
……
またまたぁ…
……
女装してて変な趣味持ってるんだよなぁ…
メテヲ
………
ぐさお
…ありがとうございます。
ぐさお
では、
ぐさお
メテヲさん、本当のことを話して下さい。
ぐさお
故郷なんて本当は来たくなかったんですか?
メテヲ
……はい…
メテヲ
でもなんで気付いたんですか?
ぐさお
…勘です…
ぐさお
あと過去も出来る範囲教えてくれると…。
メテヲ
…いいよ。
メテヲ
メテヲは生まれた時から中性的な顔で男と言われれば男、女と言われれば女として見える顔で生まれてきたんだ…
メテヲ
親からも不思議な目で見られたことを今でも覚えてるんだけど…
メテヲ
髪を伸ばし始めたのもこの時、5歳の時から。
ぐさお
なるほど…
メテヲ
でも伸ばしたいって言ったらお母さん達賛成してくれたんだ。
メテヲ
メテヲのやりたいことはやらせてあげたいって。
メテヲ
その時は本当に嬉しかったんだ。
メテヲ
周り〜女の子と間違えられることが増えたのもこの頃からかな…
ぐさお
…メテヲさんは…女の子に…なりたかったんですか…?
メテヲ
いいや?髪が長い方が素敵って思ってたから。完全な趣味趣向の問題。
メテヲ
だから女の子として間違えられるのは嬉しくもなかったんだ。
ぐさお
……
メテヲ
でも、中学生に入学して2年、すなわち中2で両親が事故で亡くなったんだ…
ぐさお
!?大丈夫…だったんですか…?
メテヲ
その時はショックだったよ…
メテヲ
唯一メテヲの趣味を認めてくれた人達だったからね。
メテヲ
で、両親が死んだことが学校側に知られていろんな人から心配されたんだ…
メテヲ
驚異の目で見ながらね…
ぐさお
それは…辛かったですね…
メテヲ
うん。
メテヲ
でも辛かったのはこれからで、
メテヲ
親がいなくなったからだと思うんだけど、友達から嫌がらせが始まったんだ…
ぐさお
!?
メテヲ
嫌がらせの詳細は思い出したくもないから話せないけれど、
メテヲ
何回も言われた「気持ち悪い」で傷ついたんだよね…
メテヲ
俺は"普通"に楽しんでるだけなのに…って、そこで精神的に殺害されたんだ。
メテヲ
ははは…
メテヲ?
滑稽だよね…
メテヲ?
だから…自分探しみたいなことしてるんだ…
メテヲ?
自分探し?違うだろ?死ぬところを探しているんだろ?
メテヲ?
wwww
ぐさお
メテヲさん…
メテヲ?
どうしたの?
ぐさお
貴方はメテヲさん…じゃない!出て行って下さい!…!
メテヲ?
俺はメテヲだよ。
ぐさお
私は…メテヲさんを助けたい…
ぐさお
会った時から…
ぐさお
普通の人は気付かない…かも、しれないけど…
ぐさお
目は笑っていても、奥は笑って…いない…そんな人…見てきたから…
ぐさお
だから!メテヲさんを…
メテヲ?
話を聞かないか…
メテヲ?
wwww
ぐさお
チッ!
ぐさお
メテヲに戻せっつっでんだよ!?聞こえねぇのか?あぁ゛?
メテヲ?
………
メテヲ?
もう…見捨てないでね、
メテヲ
…………
ぐさお
メテヲ…さん?
メテヲ
………ぐさおさん…
メテヲ
こんな俺、気持ち悪いでしょ?正直に言って?
ぐさお
はぁ…何を言ってるんですか…
ぐさお
自分の…趣味は自分の趣味です。
ぐさお
他人になんか言われても趣味を捨てては…いけません…
ぐさお
自分の…人生ですから…
本当は誰にも邪魔されてはいけないのですよ…
メテヲ
!?でも…こんなに言われて普通な訳ないじゃん…
メテヲ
…俺の人生…
ぐさお
…話を聞いて…ましたか?
ぐさお
普通じゃなきゃ…いけないんですか…?
ぐさお
人の人生に他人は口出しできないんです。…できて…ないんです…
ぐさお
ただの嫉妬です…
ぐさお
メテヲさんが綺麗…だから…みんなから人気…だから…
ぐさお
嫉妬してる…だけなんです…
メテヲ
…………
ぐさお
これで…分かりましたか…?
ぐさお
メテヲさんの人生は…メテヲさんのものなんです…他人に左右されないんです。
メテヲ
…ごめん…俺…この過去消せそうにない…
ぐさお
……その想いを抱えて…優しくしていけばいいんですよ…
ぐさお
その想いは…きっと…いや必ず役に立ちます。
ぐさお
それじゃ、ダメ…ですか?
メテヲ
ううん…俺の目を覚ましてくれてありがとう。
何を言ってたんだろう…
ぐさおさんの言う通り、俺の人生なんだ。
他の人を気にしてたら楽しめない…
勘が鋭い"勇気がある"少女のおかげで自分を見つけられた…
あとは…
メテヲ
ぐさおさんの勇気のおかげで自分を見つけられたよ!ありがとう。
ぐさお
…え?
メテヲ
勇気があるからメテヲに声をかけてくれたんでしょ?
メテヲ
もう、自分は臆病だって思わないで、
メテヲ
自分の言葉に…自分に自信を持って?
ぐさお
……はい…ポロ…
メテヲ
え?メテヲ、無神経なこと言った?…
ぐさお
いえ…ありがとうございます。
ぐさお
親に期待されずに育ってきたから…常に自信がなくて、でもメテヲさんのおかげで…
ぐさお
自分に自信を持てそうです…
私、短い言葉で…自信を持てるんだ…
私…もうずっと…臆病から治らないと思ったけど、
治った…自信を貰ったから…メテヲさんに…
感謝…するために、
もっと、明るくならないとね…
凍った日々を照らしてくれた君は太陽。
そこに生まれる影に私/俺はなりたい…
2100/03/01 ぐさメテの決意
ーーーーーーーーーーーーーーー
2人とも自分を見つけられてよかったね〜!私もうれしいよ〜…あと、残すは1人…いや2人だね。もしかしたら3人かも?まぁいいや。2人とも素敵なパートナーになりそうだなぁ…
その時には私は、いないんだろうな…見たかったな〜
この人は、いつまで生きられるんでしょう…
それは私も知らないですね〜。
でも、物語人生はまだまだツヅク…

プリ小説オーディオドラマ