夕焼けの校庭。
紫苑と煌陽が並んで歩いていた。
その姿はとても自然で、暖かかった。
私はゆっくり近づいた。
「紫苑…煌陽。」
二人が同時に振り向く。
その笑顔が眩しくて、胸が痛い。
「どうしたの?空見。」
紫苑が首をかしげる。
私は、ゆっくり息を吸った。
「ありがとう。二人に会えて…よかった。」
「え、何いきなり?」
紫苑は笑う。
煌陽は少し心配そうに眉を寄せた。
「私……そろそろ行かなきゃいけないの。」
「帰るの?」
「どこに?」
二人の声が重なる。
私は夕日を見上げた。
橙色の光の中で、
私の手が薄く透けていく。
紫苑が目を見開いた。
「空見!?手…どうしたの!?」
煌陽が駆け寄り、私の肩に触れようとする。
でもその手は、私をすり抜けた。
「……!」
私は微笑んだ。
「二人が幸せなら、それでいいの。それが…私がここに来た意味だから。」
紫苑の瞳が揺れた。
「意味って……何を言ってるの…?空見、私…空見のこと…」
「大好きだよ、紫苑。」
紫苑の頬を涙が伝う。
「私も……!!」
煌陽も必死に声を上げる。
「空見!!行くな!!」
私は首を振った。
「煌陽。紫苑を…よろしくね。」
震える声で、煌陽は言った。
「……あぁ。絶対守る。
空見が、俺たちを繋いでくれたから。」
胸が熱くなる。
「ありがとう。」
光が私の足元からゆっくり昇っていく。
紫苑は手を伸ばした。
触れられないのに、それでも掴もうとする。
「空見!!いやだ…行かないで……!!」
私は涙をこらえて笑った。
「紫苑。愛してるよ。あなたが幸せな未来を生きてくれたら…私はそれだけで充分。」
最後の光が視界を覆い──
世界が、音のない白に染まった。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!