『弔くんおんぶ』
死柄木「塵になりてぇならしてやるよ」
『物騒 !! 』
恨めしく視線を送っても
弔くんは何処吹く風 。
日はとっくに傾き 、
星の帳に包まれた街が静かに息を潜めている 。
森は抜けた 。それは喜ばしい 。
けど 弔くんの足は止まらない 。
段々口数も減ってきて 、
沈黙が夜の闇より濃く浮かび上がる 。
そんな中 、 足の感覚はもうないから
体力のない私もまだ歩けそうな事だけが幸いだった
きっと 足の感覚があったら 、
途中で疲労感に負けて休みたいと喚いていただろう
… そんな醜態晒さなくて本当に良かった
『弔くんあとどれ位 … ?』
死柄木「1時間程度だ 。
黒霧がいねぇとどうにも不便だな … 」
吐き捨てるみたいな声音 。
でもその奥に 微かな疲労が滲んでいた 。
ネオンに包まれた繁華街の隣 、
錆びたスラム街をただ静かに 歩き続ける
夜に溶けるみたいに
誰にも気づかれることなく ひっそりと
死柄木「おい 。ついたぞ」
『ぁれ … もう朝 ?』
死柄木「もう昼だ」
重たい瞼を擦る 。
ぼやけた視界の半分を埋めるのは 淡い青の髪 。
無意識に 指先でさらりと撫でた
死柄木「 … 余程殺されたいみてぇだな」
『なんで … ってあれ 弔くん !?』
無意識に撫でていたことが気に触ったのか
ぐるっと振り返り私を睨む弔くん 。
言葉とは裏腹に 殺気の感じられない瞳は
どこか柔らかい
不意に 微かな浮遊感が足元を吹き抜けた
あれ 、私弔くんにおんぶされてる … ?
いつの間に寝ちゃってたんだろ
『ごめんね 、重かったでしょ 。今降りる』
密着したくらいで混乱したりしない
私は トンっと軽く着地すると 、
目の前に立ち塞がる古びた建物を見上げた
ここが 、私たちの向かっていた場所 ?
『で なんでここに来たの ?目的って ?』
死柄木「 … 目的わかってねぇのについてきてたのかよ
危機管理どうなってんだ」
呆れた声に 肩を竦める 。
昨日 聞いても教えてくれなかったじゃん 。
ま 、そんな口答えしないけど
一瞬の沈黙 。
風が 錆びた鉄柵を軋ませた
死柄木「それで目的だが」
死柄木「オマエには俺の仲間にあってもらう」
そう言って挑発するように
弔くんは笑みを深めた












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!