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第11話

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2026/03/01 10:49 更新



 『弔くんおんぶ』


死柄木「塵になりてぇならしてやるよ」


 『物騒 !! 』




 恨めしく視線を送っても
 弔くんは何処吹く風 。


 日はとっくに傾き 、
 星の帳に包まれた街が静かに息を潜めている 。


 森は抜けた 。それは喜ばしい 。
 けど 弔くんの足は止まらない 。


 段々口数も減ってきて 、
 沈黙が夜の闇より濃く浮かび上がる 。



 そんな中 、 足の感覚はもうないから
 体力のない私もまだ歩けそうな事だけが幸いだった


 きっと 足の感覚があったら 、
 途中で疲労感に負けて休みたいと喚いていただろう


 … そんな醜態晒さなくて本当に良かった




 『弔くんあとどれ位 … ?』


死柄木「1時間程度だ 。
黒霧がいねぇとどうにも不便だな … 」




 吐き捨てるみたいな声音 。
 でもその奥に 微かな疲労が滲んでいた 。



 ネオンに包まれた繁華街の隣 、
 錆びたスラム街をただ静かに 歩き続ける



 夜に溶けるみたいに
 誰にも気づかれることなく ひっそりと










死柄木「おい 。ついたぞ」


 『ぁれ … もう朝 ?』


死柄木「もう昼だ」




 重たい瞼を擦る 。
 ぼやけた視界の半分を埋めるのは 淡い青の髪 。

 無意識に 指先でさらりと撫でた




死柄木「 … 余程殺されたいみてぇだな」


 『なんで … ってあれ 弔くん !?』




 無意識に撫でていたことが気に触ったのか
 ぐるっと振り返り私を睨む弔くん 。


 言葉とは裏腹に 殺気の感じられない瞳は
 どこか柔らかい


 不意に 微かな浮遊感が足元を吹き抜けた


 あれ 、私弔くんにおんぶされてる … ?
 いつの間に寝ちゃってたんだろ




 『ごめんね 、重かったでしょ 。今降りる』




 密着したくらいで混乱したりしない
 私は トンっと軽く着地すると 、
 目の前に立ち塞がる古びた建物を見上げた


 ここが 、私たちの向かっていた場所 ?




 『で なんでここに来たの ?目的って ?』


死柄木「 … 目的わかってねぇのについてきてたのかよ
危機管理どうなってんだ」




 呆れた声に 肩を竦める 。


 昨日 聞いても教えてくれなかったじゃん 。
 ま 、そんな口答えしないけど




 一瞬の沈黙 。
 風が 錆びた鉄柵を軋ませた




死柄木「それで目的だが」










死柄木「オマエには俺の仲間にあってもらう」




 そう言って挑発するように
 弔くんは笑みを深めた





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