振り返ると、屋上のドアが開き、息を切らした香織の姿が見えた。
そして、ドアから出てきたのは香織だけではなかった。
私が1番見たくなかったその姿。
嘲笑うように私達に問いかける桧谷。
髪の毛を指でくるくると巻きながら余裕ぶった表情で桧谷は言う。
俯いた顔をあげた香織の瞳には、決意の色が浮かんでいた。
平然と殺すと言った桧谷。
大きな声で香織の名前を呼ぶ桧谷は、怒りの色が混じっていた。
香織は苦しそうに胸を抑え、咳き込んでいる。
そう言うと香織は血を吐いてその場にゆっくりと倒れてしまった。
私は大声で先生を呼んだ。
そして、救急車を出して貰うため、電話している。
香織……
目を覚ましてよ。
独りにしないで。
香織……!
✳ ✳ ✳
治らなく、なった……?
なんで……?
ただ、『なんで?』と思った。
なんで香織は治らないの?
悪いことした?
そんなの、桧谷の方が悪いじゃん……
そう思ってからふと柳の言葉を思い出した。
”辛いときも前を向いて“
そうか。私が香織を助けたら良いんだ__
唾を飲んでから、ゆっくりと私は息を吸う。
うん。これでいい。
正解でも正解でなくても、私が選んだ、1つの道。
柳。折角右目くれたのに、ちょっとしか使ってないや。
でも、無駄では無かったよ。
だって、その目でコンクールの結果は見たんだから。
柳。おめでとう。
本当に凄いや。
私、そんな柳と親友になれて嬉しかったな。
__怖くないの?
__勿論怖いよ。でも、私は進むから。
『____________。』












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。