柳、私は貴方みたいに強くないんだ。
だから、独りで戦っていく力なんて無いよ。
柳。折角右目くれたのに、無駄にしてごめんね。
でも、本当に考えたんだ。
やっぱり、私は調和出来ないみたい。
今までありがとう。
そういえば、コンクールの結果見た?
入賞してたよ、柳の描いた絵。
凄いよ。凄いよ柳。
でもね、そんな柳だからこそ理解できないんだよきっと。
でも、私から言えることはただ1つ。
今、屋上から見えてる景色はあの柳の描いた絵のように綺麗だよ。
最後に見たものが、あの柳の作品みたいな綺麗なもので、良かったなぁ……
今からそっちに行くよ。
一つ言っておくけど、別に右目が青色になったことは後悔してないよ。
でもね、香織に裏切られた傷は癒えなかったんだ。
だから、柳。
そこで待っててね。
今から行くよ。
香織。柳。今までありがとう。
ばいばい!
私は屋上のフェンスに足をかけた。
ここは四階。
多分死ぬかもしれない。
でも、今まで生きてきた人生に悔いはないかな。
最後に夕焼けを目に焼き付けると、息をゆっくりはいた。
誰にも聞こえる筈の無い声は、夕焼けの中に吸い込まれる。
悲しい風が私のスカートをふわりと揺らす。
ガチャッ
びっくりして後ろを振り返ると、屋上のドアが開いていた。
そこには、ある人影が。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!