第19話

大嫌い。
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2019/11/09 22:25
前橋 藍
ゴホッ……
あーあ。下らないな。
学校に来たらこれかよ。

目の前にはチョークの粉が教室の入り口付近を舞っている。
心の中で毒を吐きながら目の前を睨み付ける。
桧谷 沙弥
何で睨んでるんですかぁ~?
何をってアンタだよ。
何でわからないかなぁ……
桧谷 沙弥
はぁ?
あ、やば。聞こえてた。
もうここまで来たら全部言っちゃおう。
前橋 藍
ねぇ、桧谷。
私は挑発的な笑みをうかべた。
前橋 藍
自分が一番だと思ってるでしょ?
桧谷 沙弥
何がですか~?
冷静を装っているが、きっと内心焦っている。
それに追い討ちをかけるように私は口を開いた。
前橋 藍
だから、友達いないんだよ。
その瞬間、教室にいる皆が息を飲んだのがわかった。
前橋 藍
桧谷。そこにいる取り巻きを友達だなんて思ってないでしょう?
桧谷 沙弥
何言ってるのお前。
桧谷は今にもキレそうだった。
はぁ……






めんどくさいしこれくらいでいいか。
そう思い、教室を後にしようとする。
すると、突然桧谷が口を開いた。
桧谷 沙弥
ねぇ、前橋をどう思う?香織。
香織……
ねぇ、香織……
どうしちゃったの?
なんでそんな悲しい顔するの?
嫌いならはっきり言ってよ。
香織……
戸羽 香織
前橋さんは……
前橋 藍
香織……!
やめてよ。
私をそんな目で見ないで。
なんでそんな哀れみの目を向けるの?
私がおかしくなっちゃう。
今まで香織と柳がいたからここまでやってこれたんだよ。
戸羽 香織
私、大嫌いだし、そもそも興味ない。
大嫌い……
興味ない……
香織は無表情で私にそう告げる。
そんなこと、嘘でも言わないで欲しかったな。
もう、嫌だ。
何もかも、嫌い。
こんな日はいつも続いている。
かれこれ2週間。
もう、慣れたよ。



そう偽ってでも呟かないと、もう限界。
香織の冷たさにも。
柳のいない苦しさにも。
もう、慣れたということにしておこう。

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