いるま視点
なつがあなたにハグをしてる…
俺が廊下通りかかろうとしたときに見た光景
嫉妬と怒りが混ざりあった感情のなか、俺は遠くから見守ることにした
こさめか…?
俺と同じ様に見守っているんだな…
走り去っていった?
俺はこさめの行方を知るため
こさめの行った方向に歩き出した
少し先に行ったら階段の下に隠れるこさめを見つけた
抜け駆けか…
俺もあなたと一緒に居たい
だけど勇気が出なくて、照れてしまう
積極的に行く二人を見て、俺は嫉妬の感情が増していった
俺は…「あなたの隣に居たい」
俺だけ見てて欲しい
このままだとなつとこさめにあなたを取られてしまう
なら…俺が積極的に行くしかねぇんだよな?
照れるとか関係ねぇ…
取られたくないなら行動する
それが俺のエゴだ
そう考えている内にこさめだけ残っていた
「はっ?俺だから…結ばれるのは」
心の中で呟いた
クラス発表…
これで俺の運命が決まる
他の男になんか取らせやしない
俺が好きにさせてやる
「覚悟しとけよ?あなた」
こさめ視点
あれ?いるまくんが居るや
気づかなかった…
せっかくなら宣戦布告でもしておこうかな〜?
と思ったこさめはいるまくんの方向に向かって歩いた
いるまくんも気づいたんだろう
こっちを見つめてくる
やっぱりそうだよな…
赤い糸が見えたからじゃない
運命に導かれる条件は「好き」の感情があること
「好き」の感情があってようやく赤い糸に選ばれる
なら赤い糸が見えただけで
メンバー全員あなたに気があるってこと
狙ってるのは当然のことか…
あなた視点
座るみんな
ドッチボールか…
得意ではないんだよな〜
好きな人か〜…
なつくん…?
こっち見てる?
ちなみにあなたちゃんの身長は155cm
後はみんな公式の身長だよ!
整列するみんな
ホイッスルが体育館中に鳴り響く
こっちが先行
でも先生強いんだよな…
体育担当だし、学校の中で体力が1番ある先生で運動神経抜群
優しく投げてくれるかな…?
シュッ(ボールを投げる音)
早すぎて音が鳴ってる…
目の前にくるボール
恐怖で足の力が抜ける
その時…誰が私の前に立った
それはなつくんだった
小さな声で
と聞いてきた
私は優しいなつくんについ照れてしまった
照れながら頭を縦に振り
となつくんに聞こえる声で返事をした
ボコッ
みんながなつくんの元へ駆け寄ってくる
みんなとハイタッチを交わし
次の借り物競走へと準備をする
借り物競走だ…
初めてするや〜…
楽しいのかなぁ?
まず…私
指定の位置へと向かう
みんなが走り始める
今は私がトップ
?BOXってあれかな…?
そう思い引く
紙には
「甘いものが好きな人」と書いてあった
誰にしようかなと考えていると
思いついた
そうだ!なつくん!
私はなつくんの方に走っていった
なつ視点
紙に書かれていることはなんだろうな?
「好きな人」とかか?
いや分からない
けどあなたが俺を選んでくれたことが嬉しい
あなたに手を引っ張られ着いていく
期待した俺が馬鹿だった…
でも嬉しいのには違いないな…
次々発表されていく
俺はまだか…
結局俺の名前は最終戦まで呼ばれなかった
俺は重たい足を起こして指定の位置へと向かう
走っていくみんな
俺はあまり運動神経は良くない
けど今はトップを独走中
目の前にある?BOXを引く
紙には
ガヤガヤ
周りが騒ぎはじめた
「まぁ…好きな人は一人しかいないんだよな」と思いながらあなたの方へと向かって走った
あなた視点
今私は…なつくんにお姫様抱っこされてる
走れるのに…
確かに…本当はドッチボールのときに足を少し捻ってしまった
それから足が痛い
なつくんは知ってて…
お姫様抱っこを?
思わず出た言葉
なつくんの顔が赤くなるのが分かる
走ってて息が切れかけているせいでもっと赤くなっている
そんななつくんに私は不意にドキッとしてしまった
ニヤついた顔でこっちのほうを見てくる
自分でも顔が熱くなってるのが分かる
思わず先生が言った言葉にびっくりしてしまった
全員の発表が終わった
みんながそれぞれ挨拶をする
ギュッ(抱きつく)
雪奈と同じクラスがいいなと思いながら
雪奈の頭をさする
お姫様抱っこをされる
誰となるんだろう…
何組かな?
でも雪奈は…?
あ〜もう心配が勝つな〜
保健室まで歩いていく
「なつくんってこんなにもカッコよかったんだ」と改めて思った
私…なつくんのこと好きなのかな…?
でも…まだ四人分かってないし…
せめて誰なのか分かってからだな〜…
タッタッタッ(走る音)
走り去っていくなつくん
ガラガラ(扉を開ける音)
扉を開けた瞬間に…
一人の人影が見えた
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。