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第1話

第1話「嫌われてる、はずだった」
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2026/01/03 02:35 更新
春風 小春
春風 小春
クラスに、私にだけ冷たい人がいる。

神谷湊。
誰にでも優しいのに、私にだけそっけない。
話しかけても、目も合わせてくれない。
春風 小春
春風 小春
「おはよう」
春風 小春
春風 小春
短く返された一言に、
今日もやっぱり嫌われてるんだと思った。

だから、私は距離を置くことにした。
期待しない、近づかない。
それが、一番楽だから。
春風 小春
春風 小春
でも放課後――
誰もいなくなった教室で、ノートを片付けていたら、
背後から低い声が聞こえた。
神谷 湊
神谷 湊
「——小春、待て」
神谷 湊
神谷 湊
思わず振り向くと、神谷湊が立っていた。
いつもより、近い距離で。

「……なんで、避けてるの?」
春風 小春
春風 小春
心臓が跳ねて、声が出ない。
ただ、じっと見つめられるだけ。

「嫌われてるから……」
神谷 湊
神谷 湊
そう言いかけた私を、
湊は静かに遮った。

「違う。
嫌いなら、名前なんて呼ばない」
春風 小春
春風 小春
その一言で、
私の中で、何かが静かに崩れた。

嫌われてると思ってたけど、
違ったんだ――。

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