食堂を出てリリアンと別れると仕事に取り掛かる。
まずは総統様のお部屋へ向かい、お掃除をするのだ。
総統様はこれから総統室にて書類をなさるのでお昼まで部屋に帰ってこない。というか、書類を溜めすぎて夜まで戻ってこられない。
誰もいないであろう部屋にもしっかりと挨拶をして扉を開ける。これからするのはお部屋のお掃除とベッドメイキングだ。
まず、あまりシワがよってないシーツと布団を外し、シワを正す。ベッドの枠とマットレスの間にシーツを入れ固定し、掛け布団をその上に乗せたらベッドメイキングは完成だ。
次は掃除。上から下に、はたきを使い棚のホコリを取って、床を幹部のロボロ様率いる機械創造科が作ったそうじきとやらで床のゴミを吸い取っていく。これが楽で腰が痛くならない。
これらの作業をはなうたを歌いながらすぐに終わらせ、掃除用具を持って総統様のお部屋を出た。
掃除用具を片付け、廊下を歩く。
総統室の掃除は書類等の関係で週一でやる事になっているのでお昼まで2時間ほど余った。お昼は13時ごろに始まるのでどこかで時間を潰そうか。
私にそう声をかけてきたのはよくここを出入りする情報屋であり、私をここに連れてきてくれた恩人でもあるニージア様だ。
薄紫色の髪をハーフツインにして黒い目をしたいつ見ても若く見えるが、実際のところ、年齢はわかっていない。
すると、ニージア様の後ろから誰かがかけてきた。
彼女はイルーナ。私がニージア様に拾われた時、私をとても気遣ってくれた子だ。
彼女はニージア様のメイドさんで夜空のように青い目と髪を持っていて、その髪を三つ編みにしている。ロングのメイド服がとてもよく似合っている。
3人並んで話しながら歩いていると、すぐに総統室に着いてしまって、ニージア様、イルーナちゃんは総統様に会いに行った。
私はちょうどいいとお見送りを頼まれ、部屋の前で待機中。窓の外の青空を見ながら今日も平和だとのほほんとしていた時、基地の警報が鳴った。
思わず耳を塞いでしゃがみこむ。怖がりの私はこの警報の音が死ぬほど嫌い。毎回この耳を劈くような音を聞く度に肩を震わせている。
でも、逃げる訳には行かない。メイドは主を守る必要があるため、私はドアを守るように立つ。とても怖いけれど、じっと侵入者が拘束された連絡を待つ。
すると、目の前の窓から人影が見えた気がした。この基地で見たことの無い、全身黒い服を着た人が、こちらを見てナイフを抜く。
こわい、!こわいどうしようどうしよう!
そんな考えが頭を巡る。
思わず身をかがめた、、、しかし、痛みは来なかった。
トントン様は侵入者をひとひねりすると、こちらに向き直る。
総統様、トントン様に礼をして3人へ玄関へと足を進めた。
玄関に着くと、別れる前に少し話す。
ニージア様に一礼、手を振ってくれるイルーナちゃんに手を振り返してふたりが見えなくなったところで城内へ戻った。
ニージア様、イルーナちゃんを玄関まで見送ったあと、まだ時間があったので部屋に戻り、ベッドに座った。クッションをぎゅっと抱き締めると、空気が抜ける音がかすかに聞こえた。
あのギラリと光ったナイフの刃がこちらに向いて今にも刺されそうだった。考えただけで涙が出てくる。
辞めればいいだろうと他の人は言うかもしれないけど、私は辞めない。ニージア様が連れてきてくれた場所だし、迎え入れてくれて、居場所をくれたこの国が好きだから私はこの先も辞めないだろう。

















編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。