第74話

▸諦めないで。
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2025/08/24 08:23 更新







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   凜太郎side.










   あなたの下の名前の開きかけていた瞼が、
   たった一言で地に落ちかける。


   少し切れ長の大きい瞳からは雫が零れた。





   ____その物質は…、







 神酒 凜太郎
 ……な、みだ 








   … である 。







   …そう認識するまでに長く永く時間を使った。



   無駄な刻を消費してしまったことで
   彼女の瞳からは涙が溢れて止まらない。

   伸ばしかけた手が届かずに宙を切った。






 神酒 凜太郎
 ( っクソ…届かない… ) 








   自分の弱さに打ちのめされている間にも
   あなたの下の名前の流す涙が畳を幾度となく湿らせる。

   その度に幾度となく胸が締め付けられる。



   胸に異常をきたしたこと故か
   途端に重く重くなった足がもつれる。








 神酒 凜太郎
 諦めんなやあなたの下の名前____ッッ!!! 








   勢いに任せて出た言葉に
   もう殆ど閉じていたあなたの下の名前の瞼がゆっくりと開いた。


   途端に脱力感に襲われ、
   強く保っていた意識の糸がほころぶ。





 秦中 飯綱
 っおい凜太郎__!? 
 神酒 荊棘
 凜太郎…!! 



 神酒 凜太郎
 ( ……うっさいねんアホ中…
   ンな声出さんでも聞こえてるっつーの、 )
 






   心中でそう毒づきながらも、
   実際に聞こえる声は途切れ途切れだ。





あなた
 りん…ぁろ、ッさ…! 







   ………彼女の声は、あなたの下の名前の声は、
   不思議なほどによく聞こえた______。







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