小説更新時間: 2025/08/17 03:13
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【怪8】𝑯𝒆𝒂𝒓𝒕 𝒄𝒐𝒍𝒍𝒆𝒄𝒕𝒐𝒓

- ミステリー
それは、防衛隊の最奥にある冷却室だった。
厚さ十メートルの鋼鉄に守られた、その檻の中。
鳴海弦は、ガラス越しに少女を見ていた。
鳴海「 ……なんだよ、アレが“世界を救う鍵”か? 」
銀髪の男の声には、明らかな不快が滲んでいた。
ガラスの向こうには、
ふわふわのピンク髪に、黒いリボン。
白い膝丈ドレスに素足を覗かせ、
無邪気な笑顔を浮かべた少女がいた。
(なまえ)「 あたし? シンギュラリティって呼ばれてるの♡
可愛いでしょ? 世界一なんだよ、ほんとに♡ 」
鳴海「 ……ふざけんな 」
鳴海は吐き捨てるように言った。
鳴海「 人間でも、怪獣でもねぇ。
こんなもん、処分対象だろ 」
その時――
保科「 そこまでにしときなはれ 」
冷たい声が背後から響いた。
保科宗四郎。
(なまえ)の管理責任者であり、
唯一“彼女”に接触できる隊員。
保科「 鳴海体調、彼女に会うのは
今日が初めてやろ。
よう言うたらんと、傷つけるで 」
それに、と彼は続ける。
保科「 ――あんたが命かけて守ってきたこの国、
もう“この子”なしには守られへんのや 」
その瞬間、ガラス越しの彼女が、ふいに鳴海を見つめた。
(なまえ)「 ねえ、あなた……
あたしのこと、嫌いなの?
でも、可愛いでしょ? 」
そう言って、ふにゃっと笑った。
鳴海の心臓が、一度だけ――ドクン、と音を立てた。
⸻
それが、すべての始まりだった。
世界で一番“可愛い”存在に、
二人の男が堕ちていく。
名を、黒羽(なまえ)。
コードネーム、魅惑のヴァンパイア。
人でもなく、怪獣でもなく――
愛されるために生まれた存在。
チャプター
全6話
2,956文字










