わーるどつあー............わーるど......
あまりの驚きに思考が停止する私を、マネージャーのみどりさんが「すごい、すごい!」と褒めまくる。
なんだか実感が湧かない。こんなにあっさり行けるものなのだろうか、世界って。
情報の処理が追いついていない私に、【あなた?大丈夫?】と電話越しにみどりさんから声が掛かる。
事務所に入りたての時、まだ未成年でちょっと投稿が話題になっただけの私には、サポートしてくれるマネージャーが見つからなかった。
でも、みどりさんだけは最初から私を信じてくれて、Sonaを色んな面で支えてきてくれた。
そんな、優しくも厳しいみどりさんが言うのなら、そうかもしれない。
通話を切って一息つくと、やっと実感が湧いてきた。
お母さんから始まって......同世代の子達へ...小さな子供達や大人達まで、ありがたいことに日本中へと私の歌が届くようになった。...そして今度は"世界"だ。
だから、より多くの人に私の歌を聴いてもらえるのは純粋に嬉しい。
────放課後
スマホでバスの時刻表を見ながら、この後の予定をざっくり立てる。
裏門へ続く道を歩いていると、ふと大声が聞こえた気がして、校舎裏の大きな楠木があるところを覗いてみた。
そこには、体格のいい男の子と髪の長い女の子が向かい合っていた。
そんな願望と小さな笑みを、優しい風がふわりと攫う。まるで、その願いは叶わないよ、と言うように。
.........浮かれすぎだ、私。
独り言が恥ずかしくなって、ふふっと笑ってしまう。
......そろそろ急がないとバスに乗り遅れるな。
再び歩き出そうとすると、鞄の中でスマホが震えた。おばあちゃんからの電話だ。そうだ、おばあちゃんにも報告しないと!
その瞬間、私の頭の中は真っ白に。そしてなぜか、視界が緑色に染まった。
𝐍𝐞𝐱𝐭♬.*












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。