――L-CORP本社、最上階のCEO室。
全面ガラス張りの向こうには、世界を支配する大都市のパノラマが広がっているが、室内は外の喧騒が嘘のように静まり返り、室温さえも数度低いように感じられる。
192cmの巨躯を高級な革椅子に預け、レオン・ストラトスが冷淡な声を放った。
デスクを挟んで立つ役員たちは、蛇に睨まれた蛙のように硬直している。
レオンの鋭い瞳には感情の欠片もなく、ただ「効率」と「利益」という冷徹な論理だけが渦巻いていた。
傍らに立つアーサーが、シルバーフレームの眼鏡を押し上げながら無機質な声で応じる。
泣きつく役員の言葉を、レオンは一瞥だにせず遮った。
地を這うような低い声。それはまさに、逆らう者を一瞬で噛み殺す「漆黒の魔王」そのものだった。
震えながら退出する役員たちを見送ることさえせず、レオンは時計を見た。
18時30分。
その瞬間、彼の瞳に宿っていた絶対零度の光が、微かに揺らいだ。
脳裏をよぎるのは、今朝、玄関で見送ってくれた愛妻の姿。
過去の自分の愚かさが、胸の奥をキリキリと締め付ける。
だが、今の彼を突き動かすのは、その後悔さえも塗り潰すほどの、狂おしいまでの執着だった。
アーサーの呆れた溜息を背に、レオンはコートをひったくるように手に取ると、風を切り、獲物を追う獣のような足取りでCEO室を後にした。
重厚なリムジンの後部座席で、ネクタイを乱暴に緩めながら、獲物を狙う獣のように独占欲を含んだ。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!