深夜1時。
通話に入ってきた甲斐田の声は、いつもより少し低い。
軽い調子の不破の声に、甲斐田は苦笑する。
本当は締切前で余裕がない。でも——通話が繋がった瞬間、肩の力が抜けた。
その“多分”に、不破はすぐ気づく。
図星を突かれて黙る甲斐田に、不破は笑わず、少しだけ声を落とした。
小さく呟くと、不破が「なに?」と聞き返す。
甲斐田は一瞬迷ってから、素直に言った。
通話の向こうで、不破が一拍置いてから照れたように笑う。
沈黙。でも気まずくない。
画面越しじゃないのに、互いの存在がすぐそばにある気がした。
不破が言う。
その一言だけで、夜は少しだけ優しくなった。














編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。