第29話

帰り道
744
2025/09/02 13:44 更新




夜風が少し涼しい。






みんながそれぞれ寮へ帰っていくなか、あなたの下の名前はふらふらと歩く保科副隊長の腕を慌てて支えていた。





あなた
ほ、保科副隊長!!
しっかりしてください!





保科副隊長
んははっ……すまんなぁ、
ちょーっと飲みすぎてもーたわ







保科副隊長は普段の冷静さをすっかりなくし、少し赤い顔で笑っている。



その笑顔に、胸が妙にざわつく。





 
あなた
副隊長ともあろうお方が、こんなふらふらになってどうするんですか…





保科副隊長
せやなぁ…でも、今日はええ日やったわ





言いながら、保科副隊長は急に立ち止まって夜空を見上げた。
あなたの下の名前も一緒に立ち止まる。






保科副隊長
……僕はな、ああやって笑ってられる時間が、ほんまに好きや





あなた






ふいに真剣な声音に変わり息を呑む。






保科副隊長
せやけど……そのために、命張ってでも戦わなあかん






保科副隊長
……お前も、もうその一人やで、あなたの下の名前





あなた
……わかってます。保科副隊長





保科副隊長は満足そうに頷くと、ふっと笑った。





保科副隊長
よっしゃ……ほな、送ったるわ





あなた
いえ!逆です!!私が送ってるんです!!






保科副隊長
……ははは、そらそうやなぁ





そう言って、また笑いながらふらつく。





あなたの下の名前はため息をつきながらも、保科副隊長の腕をしっかり支えた。





その距離が近すぎて、胸の鼓動が落ち着かない。







夜の廊下には、ふたりの足音だけが響いていた。

プリ小説オーディオドラマ