「おい!見ろよ!」
「や、辞めてあげてよ!」
「あぁ?なんだよ!」
2人の少年が鴉の雛を囲っている
赤いキャップ帽を被った少年は木の枝を持っている
「だからっ!かわいそうだよ!」
青いリュックサックを背負った少年が止めている
「なんだお前…しらけたっ!」
「もう帰る!」
「…」
二人並んでいるがどこか距離を感じる
黙って信号待ちをしていたその時
キキーーーーー
甲高いブレーキ音があたりに響き渡った
「「え…」」
二人の少年のもとに突っ込んでいった大型トラック
「ん〜…あれ?」
「僕、トラックにぶつかったんじゃ…」
「あ」
横には赤いキャップ帽の少年もいた
「なんだよ…」
「あ、起きた?」
二人の前には和服の女の子が鞠を手に立っていた
「誰だお前!」
「まぁまぁ!」
「僕たち、トラックに轢かれたんじゃ?」
「そうなんだけど〜…まぁ良いから!」
「良いもの見せてあげる!」
「あ?ただの神社にある門じゃねぇか!」
「鳥居ね?」
「見てて!」
女の子が鞠を蹴った
シャン…
鳥居の奥には別世界が広がっていた
「なんだ…これ…」
「さぁ!おいで!」
「なんだあいつ!」
「首が伸びてるぞ!」
「こわぁ〜w」
「そう言うこと言っちゃダメだよ!」
「それにここ…」
「あ?お前びびってのか!」
「違うよ!」
「おや、今度は男の子2人ですか?」
笠を被った大きな鴉が女の子の元へやってきた
「旅鴉さん!そうだよ!」
「元気ですね」
リュックを背負った男の子が走り寄ってきた
「あ、あの、ごめんなさい!」
「ん?」
「その、カラスさんの赤ちゃんをいじめちゃって…」
「あぁ、見てましたよ」
「ごめんなさい…」
「謝れて偉いですね」
「今回は許してあげますよ」
大きな羽で男の子の頭を優しく撫でた
「ふん!お前、カラスなんかに謝って!ビビリだなぁ!」
「…彼は無理そうですね」
「だね」
「?」
「なんでもないですよ」
「遊んできたらどうですか?」
「だいじょうぶです」
「じゃあ、ちゃっちゃと話しちゃおうか!」
「君たち2人、トラックにぶつかっちゃったでしょ?」
「うん」
「今後、ここで過ごしても良いし、生き返っても良いんだけど…」
「生き返ってもって、俺、死んじゃったの⁈」
「まだゲームしてないのに!」
「俺、いきかえりたい!」
「ぼ、僕も出来れば生き返りたい…な」
「良いよ!」
「2人とも、私と約束してね!」
「目が覚めると病院で入院してるから、退院したら、毎日鳥居に来て挨拶すること!」
「でも、場所知らないよ?」
「地図を枕の下に置いておくよ!」
「わかった!」
「じゃあ、約束ね?」
女の子と少年2人はゆびきりげんまんをした
「じゃあ、バイバイ!」
女の子が鞠蹴った
「あ、あれ」
鼻につく薬品の匂い、白いベット…
「!起きたのね!」
「お、おかぁさん…!」
「大丈夫だった⁈」
「って、こんなんだから大丈夫なわけないよね」
母親の頬には泣いた後がくっきりと残っていた
「大丈夫だよ!女の子とカラスさんがいたから…」
「そう…よかったわ」
少年は青いリュックを背負って鳥居の前まで来ていた
「こんにちは!」
「ぶじに、元気になりました」
「ありがとうございました」
「カラスさんの赤ちゃんは、巣で元気にしてました」
鳥居の柱の元にはおにぎりが置いてあった
「あ!お前、マジでやってんのか?門に挨拶するとか!」
「やってないの⁈」
「あんなんしなくったって死にやしないのにな!w」
「でも、僕たちを助けてくれたんだよ?」
「ふん、あんなんただの夢だよ!」
それから数日後、赤帽子の少年はふっと姿を消した
「あ〜あ、約束は破ったらいけないよ」
鳥居の上には少女が座っていた












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。