第5話

2-2 機密クエスト
12
2020/04/03 21:00
…暗闇で、俺を呼ぶ声が聞こえる。
?「………さん!……ベイカーさん!!お願いですから、目を覚まして下さい!!!」
エリック
エリック
.。oO(ブショー…? )
俺はブショーの声に手を伸ばす。

ブショーの大きくてゴツゴツした温かい両手が、冷えきった俺の手を包んでくれた。
シセル
シセル
ベイカーさん…!
私がわかりますか!?
エリック
エリック
うるせえ。芋で口塞ぐぞ。
聖騎士の手を振りほどこうとしたが、上手く手に力が入らない。
シセル
シセル
ああ…!良かった…!!!
「良くねーよ」と言おうとしたが、
聖騎士はボロボロと涙を流して俺を抱き締める。

聖騎士はブショーだった。
あまりにも雰囲気の違うので目ではわからなかったが、共に野宿をし、傷付いた背中を拭きあった仲だ。
戦友を間違えるはずがない。
エリック
エリック
ブs…
シセル
シセル
私を庇って下さったベイカーさんが亡くなったら、私はどうやって罪を償えば良いか…!!
あ、コイツは例外みたいだ。

  話を聞くと、俺を刺したのはバンディットで、自分と同じように同職の俺が逮捕され職を失うのが見ていられなかったから、ブショーをモンスターの毒を塗ったナイフで刺したとの事。

(名前は俺のステータスカードを見たらしい)
シセル
シセル
幸いな事に、ベイカーさんはモンスターの毒で亡くなったので、女神の加護で蘇生することが出来ました。
エリック
エリック
俺の事はいいから、犯人を解放してついでに国に返してやってくれ。
あと…重いからそろそろ降りてくれないか?
シセル
シセル
あっ…(忘れてた)
ブショーは慌てて離れると、
本名をシセル・ブヨルム卿であり、
本職はパラディン(聖騎士)であること。

王からの”重大なクエスト”を受ける為に今朝地元に帰ってきた事。

を話してくれた。
エリック
エリック
重大なクエストって、盗賊と何の関係があるんだ?
シセル
シセル
それは………夕食を召し上がってからにしませんか?
料理人にベイカーさんの為にご馳走を用意させたんです。
ブショー…シセルは腹を鳴かせた事を恥じらった。
エリック
エリック
ん…?
ここは教会じゃないのか?

(周りをよく見ると、高そうなホテルみたいな家具が置いてあるような…?)
シセル
シセル
はい。
ここは私の実家です。
少し歩いたところでシセルが貴族であると確信し、今までの無礼な行動がバレないよう”グレンだと気づかれてはいけない”と心に誓った。

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