ウィッシュ・スイート・グレーテル side
如何しよう 、如何しよう如何しよう如何しよう ! !
ウィッシュの思考が 、白く塗り潰される 。
ウィッシュの躰から決壊した様に赤黒い血が溢れ続け 、止
まらない 。
赤黒い血の水溜まりが 、忌まわしい程に生暖かく感じる 。
激し過ぎる動悸に促される様に 、ウィッシュは大きく肩を
上下させ 、肺を抉る様な喘鳴を漏らす 。
苦痛に歪んだ貌からは最早言葉にならない 、猛獣の様な呻
き声が溢れて居た 。
そんな 、苦痛に悶絶するウィッシュを 、殺伐とした空気と
は対照的に 、驚く程可憐に整った顔立ちをした小さな少女
が冷ややかに見下ろして居た 。
彼女は 、無邪気に笑みを浮かべて 、愉しげに言葉を紡ぐ
。
彼女は硝子玉の様な大きな瞳で 、慈悲等微塵も孕まぬ澄ん
だ視線でウィッシュの姿を捉え乍ら 、魔法の杖を持って居
る掌に力を込め 、興奮した容子で呪文を口にした 。
ウィッシュは 、静かに覚悟を決め 、神妙な面持ちで伏目に
なった 。最早抗うつもり等毛頭ない様だ 。
瞼を閉じると共に 、脳裏に過去の出来事が鮮明に駆け巡る
。嗚呼 、此れが走馬灯と云う物なのだろうか 。
彼女は死を悟り 、現実から眼を逸らす様に強く瞼を閉じる
。
然し 、躰は死ぬ事を拒絶して居るのか 、意思に反して指先
は小刻みに戦慄きを上げて居る 。
回想 。
ウィッシュの家庭環境は 、御世辞にも良いとは到底云えな
い物であった 。
母親は 、子供嫌いでありウィッシュや兄に冷たく当たって
居た 、時には折檻さえされる事もあった 。
父親は 、強気な性格の母親に逆らえず 、対して手を貸す事
も無く見知らぬフリをして 、極稀にお菓子を一 、二上げら
れるだけだ 。
そんな家庭で 、唯一信頼し合えるのはお兄さんだけだった
、お兄さんはわたしの事を如何思って居たかは露知らない
が 、少なくとも 、わたしの事を守ってくれた 。
わたし達の楽しみと云えば 、時たま行われるお菓子パーテ
ィーの時間であろうか 。
母親と父親の眼を盗んで食べるお菓子は 、普段食べるお菓
子よりも背徳感があり 、何時もより 、余計に美味しく感じ
られた 。
お兄さんは 、お菓子を頬張るわたしを見て 、慈悲を帯びた
瞳で此方を見詰めて 、優しく微笑んでくれた 。
そして必ずお兄さんは 、自分のお菓子を此方に一個差し上
げ乍ら 、小さく口を開く 。
ウィッシュは幼児特有の純粋な笑みを浮かべ 、お兄さんか
ら差し出されるお菓子を 、瞳を輝かせ見詰めて居た 。
ウィッシュは 、お兄さんの顔を視界に捉え乍ら 、感謝の言
葉を綴る 。
既にお菓子を口の中に含んで居る為 、何を云って居るのか
良く分からなかったが 、そんな容子さえも愛おしいのか 、
お兄さんは 、ウィッシュを微笑ましげに見据えて居た 。
わたしは 、御礼の言葉を述べ乍らお返しとしてお兄さんの
好きなミント味のお菓子を上げる 、此れも殆ど恒例行事か
の様になって居る 。
お兄さんは 、ミント味のお菓子を貰う成り 、早速封を開け
てわたしより断然大きな口の中にお菓子を放り込む 。
わたしが 、如何 ? 美味しい ? と言葉を付け加えると 、お兄
さんは小さく微笑を浮かべて言葉を紡いだ 。
そんな 、心が和む様な 、穏やかで癒される様な何処か優し
い空気が2人の周りに漂って居た 。
然し 、平和は硝子の様に脆く 、些細な罅で簡単に壊れてし
まう 。 其れをわたしは身に染みて実感した 。
わたし達の関係は 、あの日が原因で歪んでしまった 。
お兄さんは気付いたら煙の様に何処かへ消え失せて居た 。
如何しよう 、お兄さんは何処に行ったの ?
わたしは動悸が高鳴るのを身に感じた 、不安が心臓に無数
の針の如き突き刺さる 。
私は痛む胸部を掌で抑え乍ら 、一生懸命に辺りを探す 。
けれど見つからない 、お兄さんは本当に煙が巻く様に 、何
処かへ失踪してしまった 。
其れからわたしは決意を固めた 。
" わたしは絶対にもう一度 、お兄さんに逢う "
罵られ様と構わない 、わたしの事を忘れて居たって構わな
い 。もう一度だけ 、お兄さんの姿が見たい 。
あわよくばお兄さんの安全が確認さえ出来たら 、わたしは
其れでいい 。
お兄さんが幸せに 、日常を送れて居る事を一生懸命に祈り
乍ら 、決意を胸に 、わたしは気付いたら外に駆け出して居
た 。
相 、わたしはお兄さんに逢う迄死ぬ訳には行かない 。
わたしは 、こんな所で死ぬなんて … 嫌だ ! !
真っ白に染色された視界が 、瞬く間に鮮やかに 、鮮明に
景色が映し出されて居た 。
胡桃が 、呪文を唱えようとして居る最中で有った 。
何故だろうか 、何故か胡桃の動きがスローモーションの様
に遅く感じられる 。
此れが 、所謂「 火事場の馬鹿力 」と云う物なのだろうか
。 … 其の瞬間 、わたしは微かな希望を抱いた 。
今の極限状態成らば 、もしかしたら 、彼女に勝てるかも知
れない 。
わたしは僅かな力を振り絞り乍ら 、彼女に襲い掛かる 。
彼女は真逆 、先程迄死に掛けだったわたしが襲い掛かって
くるとは思ってなかったのか 、驚いた様に眼を見開いて 、
思わず身動きが取れずに居る 。
ウィッシュは其の隙を 、見逃す事無く 、胡桃に向かった最
大威力の魔法を放出する 。
戦場が 、ウィッシュの魔法によって煙に巻かれ 、良く胡桃
の姿が見えない 、然しウィッシュはそんな事は気にせずに
、永遠に魔法を放出し続けて居る 。
刹那 。
頭の中に突如として言葉が思い浮かぶ 、何だろうか此の奇
妙な感覚は 、云い表し用は無いけれど 、わたしは其の瞬間
、更に勝ちへと道筋が眼に見えて来た 。
私は脳裏に浮かんだ言葉を 、不思議と自然に口にして居た
。
其の瞬間 、わたしの杖が桃色に光り輝く 、光に思わず眼が
眩む 。わたしは眼を細め乍ら 、胡桃の姿を捉える 。
杖先を胡桃の方に突き出し乍ら 、魔法を放つ 。
其れは唯一無二の物であり 、わたししか使えない特別な魔
法だ 。
相 __ 此れは所謂【 固有魔法 】 。
火事場の馬鹿力のお蔭で目覚めた 、わたしだけの魔法だ 。
戦場が 、眩い光に包まれる 。
胡桃は対して対抗出来る筈も無く 、無謀に只静かに佇んで
居る 。
ウィッシュの其の光景を 、神妙な顔付きで視界に捉えて居
る 。
其処の貴方 🫵
是非とも参加してください ( スライディング土下座 )
mbtiがモチーフです 、フォロンパ形式になります。
誰でも参加可です 、設定等もいらないのでバンバン参加し
てください !
















編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!