中也視点
海月が寝に入ってから2ヶ月が経とうとしていた。
銀や樋口、姐さんは海月の様子を見に毎日来てくれた。
エリス嬢は海月の顔を見て自分の描いた絵を枕元に置いて部屋を出て行っていた。
ポートマフィアの奴らは海月が起きるのを待っている。
海月、お前はどうして起きてくれないんだ……?
海月視点
判ってるよ……そんな事……
私は、研究員達に作られた異能生命体なんだ。
人間としてなんか扱って貰えない……
あれ?
そういえば……私の大切な人って誰?
私のお兄ちゃんって誰?
私が忠誠心を向けてる相手は?
私が慕ってる人は?
なんで……
なんで何も思い出せないの……?
誰か、私をこの悪夢から救って……
私はクラゲが見える方に歩いて行った。
奥に奥に沈んで行くクラゲを追いかけた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!