第64話

ラムネノアブク[としみつ]
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2020/04/19 02:00 更新
あなた「メンバーカラーの正式名称、りょうくんはクリスマススカイなんだね。」

そう言って隣で笑う友達に俺は「七夕の笹の葉だよ」って言えない。

あなた「私、水色がいいなぁ。」

としみつ「水色?」

あなた「…うん、青に近いなって。笑」


聞かなくてもわかる。りょうが好きなんだろうな。
「黄緑は?」なんて冗談も言えない。


あなた「あ、見て、ラムネの…あわ?あぶくって読むんだ。これがいいなー。」


指をさしたのは綺麗な水色。
緑色はこの子の眼中にない。


としみつ「お前メンバーカラー関係ないじゃん。笑」

あなた「いいじゃん、考えるくらい!そう言えば今度の飲み会、りょうくん来る?」

としみつ「…さぁ、どうだっけな。」



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りょう「あなた!」

あなた「りょうくん!なんだ、としみつが来るかわかんない感じだったから来ないのかと思ってた!」

りょう「いや、行くって言ってたよ。笑」

としみつ「さぁなって言っただけですー。イチャつくなよ。クソが!」

あなた「いちゃついてないってば!」

りょう「ねー、彼女居ないと卑屈になって嫌だね。笑」

としみつ「…うるせぇな。」


愛想笑いすら出来なくてついイラッとした顔をした。


あなた「もう、としみつは笑ってた方が可愛いよ?」


「可愛い」か。「格好いい」はりょうにしか言わないもんな。


りょうの隣に座る俺の友達は今日も笑ってた。


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数日後の真夜中、電話がかかってきた。


あなた「へへ…。失恋したよ。今。」

嘘くさい笑い声と鼻をすする音。

としみつ「今から行く。どこにいんの?」

あなた「…私、なんでとしみつに電話したんだろうね。私ってずるいのかな。」

としみつ「…知らんけど。どこ?」

あなた「ううん、今日は大丈夫。としみつは私のこと嫌いにならないで。じゃあ。」


そう言って切れた。

誰よりもあなたを見てきた。

行きそうなところくらい見当がつく。

りょうと初めて会った店の前の公園、
りょうとよく飲みに行ったbar、
りょうと駅で待ち合わせるときのオブジェ、

悲しいくらいに全部がりょうだった。

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としみつ「…どこ行ったんだよ。家帰ったのか?LINEも返って来ないし。…腹立つ。」

車に乗り込んで、一瞬だけよぎった川沿いの道。

よくあそこで2人で話したな。

いるはずないのに、俺はそこに向かってた。




としみつ「…バカやん。」

あなた「…来るかなって、少しだけ期待してた。」


赤くなった目を隠しながらまた無理して笑った。

本当にずるいな、そう思った。

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