第27話

忍術学園に帰ろう
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2026/04/10 14:05 更新
久々知くんに連れられて、いろいろな店に行ったし、思っていたものは全部買えた。

集合場所にほくほくで戻ると、もうハチくんが来ていて、手を振ってくれた。
荷物は久々知くんが持ってくれているので、ハチくんに駆け寄る。


『お疲れさま!わ、それなに?買ったの?』


ハチくんも風呂敷を抱えていて、頷いた。


「買ったって言うか…買ってもらった。新しい小袖」

『え!誰に?』

「知らない人」

『す、すごい』


モテるんだ。


「兵助、あなたさんと一緒だったんだな」

「うん。俺が頼んだのだ」

『助かったよほんと』


新しい店がどうだ、どこの和菓子が美味しかっただ、そういう話をしていたら、勘右衛門くんと鉢屋くん、不破くんが帰ってきた。


「兵助ー。デートしてたでしょ」

「私も見たぞ」

「僕も」


いつ見られてたんだ?気付かなかった。

そう思った瞬間、頭の中に立花くんの「お前に気付かれたら忍たまの名が泣くわ!」と言っていた顔が思い浮かんだ。いつも立花くんが出てくるな。


『買い物に付いてきてくれて』

「自然にぶらぶらするのにちょうど良かったのだ」

「俺はひとり寂しくぶらぶらしてたって言うのにさ…」


ひどいよ兵助、と勘右衛門くんが久々知くんと肩を組む。


「あはは。みんな揃った事だし、帰ろうか」


不破くんが笑ってそう言った。行商人だった格好はもう既に私服に変わっている。さっきまでは違ったのに。忍者って早着替えもすごいんだ。


「その荷物、ここに置いていいですよ」


不破くんが、木でできたリュックの枠組み?みたいな…昔話でよく薪とかを積んでいるあれだ。その上を指さした。


『いいの?』

「うん。兵助も」

『あ、持たせたままだった…ごめんね、ありがとう』

「全然軽いよ」

「背負うほうが楽だと思うから。ほら、乗っけて」


お言葉に甘えて、乗せさせてもらう。

雷蔵ってホントに優しいな、と三郎くんが言っている。


『ありがとう!』

「どういたしまして」


実を言うと、久々知くんと手を繋いで、片手で荷物を持っていたから、結構疲れていた。ふたつも風呂敷包みを作ってしまった自分が悪いんだけどね。


「じゃ、帰ろうか」

『はーい』


来る時に通った山道をまた歩く。しばらくするとハチくんもいつの間にか私服に戻って、化粧も落としていた。


『五年生はこういう実習、多いの?』

「まあ、そうですね。今日はターゲットの情報集めでしたけど…実際にターゲットと同じ店に入って諜報したり、接触したりすることもありますよ。今日俺は穴丑のところへ言って、話を聞いてきたんですけど」

『あなうし?』

「えっと…普段、一般人として生活して情報収集したりしてる忍者のことです」


ハチくんが教えてくれる。


『へえ…みんなすごいね』

「まあ…」

『とにかく、一緒に来させてくれて、助かったよ。ひとりだと道も分からなかったし』

「まあ山賊とかに襲われても大変ですしね」

『さ、山賊…!?』


勘右衛門くんが頷いた。


「いますよ、山賊。海には海賊もいますし」

『そうなんだ…』

「ちょっと前に山賊捕まえたよな」

「あったね、そんなこと」

『すごい』


平成や令和では考えられなかったことだな、と思ったけれど、日本以外の国ではまだあるか、と思い直す。


「……あれ、足、大丈夫ですか?」


不意に不破くんが俺の足先をみた。


『え?あ、うん…大丈夫』


正直いうと山道のでこぼこ道が始まったあたりからちょっと痛い。


「そっか。慣れてないから。おんぶしましょうか」


ハチくんが何気なくそう言った。


『え!!だ、大丈夫だよ』

「じゃあ俺がしようか?」


勘右衛門くんが自分を指さしながらそう言う。その後ろで久々知くんも自分を指さしていた。


「俺がガタイ的には一番かなと思うんだけど…」


確かにハチくんの言う通りかもしれない。久々知くんにおんぶしてもらうのは余計に気が引ける。


『俺、君らより年上なんだよ』

「そんな変わらないでしょ」

『いや…もうすぐ二十』


え!!!!と全員が声を出した。


「同い年くらいだと思ってた」

「俺は小松田さんと同じくらいかと」

「俺は利吉さんくらいかと…」

『小松田さんって何歳なの?』

「十六…?とか」

『若いよ…』



***



結局、帰り道は「帰るの遅くなったら困るんで!!」という鉢屋くんのひと言に負けて、ハチくんにおんぶしてもらった。逞しい背中だった。

入門表を!!と現れた小松田さんが、ぱちくりと俺を見る。


「どうしたんですかぁ?」

『ちょっと…足が痛くて』

「ふうん…あ、書いてください」


ハチくんに降ろしてもらって、名前を書く。


「報告して、はやく食堂に行こう」


鉢屋くんが欠伸をしてそう言った。


『あ、夜、お風呂上がりに長屋に寄ってもいい?』

「…いいけど…」

「何か用事でも?」

『用事って程じゃないんだけど…お菓子買ってきたから、一緒にどうかなと思って…』

「あ。あれ俺たちの分もあったの」


久々知くんが少し驚いたようだ。鉢屋くんも伸びをした姿勢のまま、俺を見ている。


「一緒に町に出たって言うのに、わざわざ俺たちの分も買ったのか?」

『授業だから、みんなで一緒に食べれなかったなって思って…』

「ふーん…まあ、確かに」


町で揃って食べることなんか、最近はないかも。

鉢屋くんがそう呟いた。


「あなたさん。医務室に行きましょう」

『あ、うん!』

「さ、乗ってください」

『も、もう歩けるよ』

「いいから。善法寺先輩に怒られる」

『はい』

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