第50話

finale.
82
2024/04/27 23:49
今日は6月30日。
メアリィの誕生日である。
少なくとも、彼女にとっては
人生にとって一番嫌いで、
その日が来ないよう、
呪っている程に嫌いらしい。
何故なら、メアリィにとっての
その日は毎回父に殴られる合図で、
本人も忌み嫌う日だからである。
だが、今日で16歳になる彼女は、
沢山の人と出会い、中王区内で
暴走し、そして結果的に
大勢を昏睡状態から救った。
開闢門メアリィ
開闢門メアリィ
(……今日は私のお誕生日……
…小さい頃、私の誕生日のお花を
家から飛び出して、花言葉?を
図書館で調べた事がある。
その頃は漢字が
読めない年齢だったけど、
今はなんて書いてあるかが分かる。
……確か、花言葉は……
不幸な愛……それと……
私はすべてを失った…だっけ…)
神宮寺寂雷
神宮寺寂雷
やぁ。メアリィさん。
今日は君の誕生日だったね。
君の好物を知った日、
一二三君がグラタンを
作ってくれたんだよ。
開闢門メアリィ
開闢門メアリィ
……そうですか……
神宮寺寂雷
神宮寺寂雷
……無理に全部は
食べなくてもいいけれど……
開闢門メアリィ
開闢門メアリィ
……いえ。食べます。
…作ってもらった物ですし……
神宮寺寂雷
神宮寺寂雷
そう、だったね。
……うん?その本は?
開闢門メアリィ
開闢門メアリィ
……花言葉の本です。
看護師の方に持ってきて
もらったんです。
神宮寺寂雷
神宮寺寂雷
花言葉?
開闢門メアリィ
開闢門メアリィ
はい。花には
色んな意味があるんです。
バラなども、色が変わるだけで
意味も変わってきます。
神宮寺寂雷
神宮寺寂雷
……成程。興味深いですね。
…そのページの花は?
開闢門メアリィ
開闢門メアリィ
スカビオサという花…らしいです。
私の誕生花の一つで、
花言葉が、確か……不幸な愛……
それに、私はすべてを失った…
らしいです。
神宮寺寂雷
神宮寺寂雷
……妙に、不吉な花言葉ですね…
開闢門メアリィ
開闢門メアリィ
では、私はこれで。
(病室を出ると同時に
風によってページがめくられ、
とあるページが出てくる)
神宮寺寂雷
神宮寺寂雷
……(…これは、まさか…)
…もしもし、獄。
頼みたい事があるのですが……
TBH
TBH
あ!メア嬢!起きたのか!
一年も眠ってたから、
心配したんだぞ!
開闢門メアリィ
開闢門メアリィ
え、あ…すみません…健司さん……
開闢門鬼哭
開闢門鬼哭
………起きたのか……メアリィ。
開闢門メアリィ
開闢門メアリィ
……はい、おかげさまで。
伊弉冉一二三
伊弉冉一二三
やぁ。メアリィさん。
起きたんだね。
開闢門メアリィ
開闢門メアリィ
はい。それと……
独歩さんが死にかけですが…
観音坂独歩
観音坂独歩
ああ、ハゲ課長に沢山
残業を強いられてな……
夜勤しまくって終電も逃して…
それの繰り返しで何日か
したらゲロってしまって…
今日、やっと有休が取れて
ここに来てるんだよ……
開闢門メアリィ
開闢門メアリィ
……あっ、これ……
ジャスミンティーです。
自販機で買った物ですが…どうぞ。
観音坂独歩
観音坂独歩
あ、ありがとな……
あぁ、俺はこんなに小さい子にまで
心配をされるところまで来てるのか…
それもそうだよな……こんなクマだけが
特徴のやつなんてそうそういないもんな…
そうだよ、こんな陰気な奴がこんな
明るいとこに来る資格なんて無いしな…
神宮寺寂雷
神宮寺寂雷
独歩くん。落ち着いてください。
四十物十四
四十物十四
メアリィさーん!!!
起きたんっすね!
開闢門メアリィ
開闢門メアリィ
あっ、十四さん。
(色違いのアマンダの
ぬいぐるみを抱っこしてる)
四十物十四
四十物十四
あ!それって、
自分がプレゼントしたやつっす!
開闢門メアリィ
開闢門メアリィ
そ、そうなんですか?
四十物十四
四十物十四
はいっす!
開闢門メアリィ
開闢門メアリィ
…ありがとう……ございます……
(結構嬉しそうに微笑む)
四十物十四
四十物十四
メアリィさんが笑って
くれるの、初めてっす!
開闢門メアリィ
開闢門メアリィ
えっ。私も笑う事はありましたよ?
波羅夷空却
波羅夷空却
よう!起きたのか!
開闢門メアリィ
開闢門メアリィ
えぇ、まぁ……
波羅夷空却
波羅夷空却
?そのぬいぐるみ、
気に入ったのか?
開闢門メアリィ
開闢門メアリィ
…はい。とても。
波羅夷空却
波羅夷空却
良かったじゃねぇか十四!
わざわざ徹夜したかいが
あったじゃねぇか!
躑躅森盧笙
躑躅森盧笙
て、徹夜?!それはあかんやろ!
波羅夷空却
波羅夷空却
げっ!マジの先生が来やがった!
白膠木簓
白膠木簓
ちょ?!盧笙?!
天谷奴零
天谷奴零
おっ、やってんな。
よぉ。開闢門。
開闢門鬼哭
開闢門鬼哭
……天谷奴か。
あのカルテは、一体何だ?
天谷奴零
天谷奴零
……カルテ?
開闢門鬼哭
開闢門鬼哭
ああ。名前の欄を見たら、
メアリィの名前が変わってた。
誰かが書き換えたようにしか
思えないが……それはお前か?
天谷奴零
天谷奴零
あ〜…どうだったかな〜…
俺は何も知らねぇぜ。
開闢門鬼哭
開闢門鬼哭
……まさか、メアリィの姓を
…開闢門にするなんてな。
開闢門メアリィ
開闢門メアリィ
……!
公魚    悟
公魚 悟
……それって、まさか……
笠子    明
笠子 明
メア嬢が開闢門さんの…
娘って事になるのか?
開闢門メアリィ
開闢門メアリィ
……
碧棺左馬刻
碧棺左馬刻
よォ。皆揃ってるみたいだな。
入間銃兎
入間銃兎
えぇ。そうですね。
毒島メイソン理鶯
毒島メイソン理鶯
左馬刻。銃兎。
お弁当を作ってきたぞ。
入間銃兎
入間銃兎
!?り、理鶯……?!
碧棺左馬刻
碧棺左馬刻
ち、ちなみに聞くが……
…材料は何なんだ?
毒島メイソン理鶯
毒島メイソン理鶯
少し前に猪が罠に
運良くかかったのでな。
碧棺左馬刻
碧棺左馬刻
って事は…
毒島メイソン理鶯
毒島メイソン理鶯
ああ、今日の弁当は
猪肉のグリルだ。
碧棺左馬刻
碧棺左馬刻
良かったぜ……虫とかじゃなくて…
入間銃兎
入間銃兎
では、後でいただくとしましょう。
伊弉冉一二三
伊弉冉一二三
……そうだ…メアリィさん。
開闢門メアリィ
開闢門メアリィ
伊弉冉一二三
伊弉冉一二三
君はこれから、
何処のディビジョンに住むんだい?
開闢門鬼哭
開闢門鬼哭
一応、俺の娘という事には
なっているから、
イケブクロだな。
開闢門メアリィ
開闢門メアリィ
そ、そうですね…
山田一郎
山田一郎
という事は、
俺達と同じなんだな。
開闢門メアリィ
開闢門メアリィ
あっ、そうでしたね……
山田の三兄弟達は
イケブクロに
住んでるんでしたっけ……
山田二郎
山田二郎
ああ。三兄弟一緒にだ。
開闢門メアリィ
開闢門メアリィ
?お母様は?
山田三郎
山田三郎
?母親の顔は覚えてないよ。
開闢門メアリィ
開闢門メアリィ
そうですか……
那由多
那由多
メアリィちゃん?起きたの?
(病室のドアを開ける)
山田一郎
山田一郎
……!
山田二郎
山田二郎
…?兄ちゃん?どうしたの?
山田三郎
山田三郎
そこの女性に見覚えでも?
山田一郎
山田一郎
……お、おふくろ……なのか…?
那由多
那由多
ええ。母さんよ。
山田二郎
山田二郎
え、本当に……?
山田三郎
山田三郎
……他人って訳じゃないの?
開闢門メアリィ
開闢門メアリィ
はい。恐らく。
碧棺左馬刻
碧棺左馬刻
その女がテメェらの
おふくろなのか。
山田一郎
山田一郎
ああ。一番上の兄貴の
俺が忘れる訳ねぇ。
入間銃兎
入間銃兎
ほら。実の母親に
甘えに行かなくて
いいのですか?
山田二郎
山田二郎
母ちゃん!(那由多に抱きつく)
山田三郎
山田三郎
母さん…!(同じように抱きつく)
開闢門メアリィ
開闢門メアリィ
……(どこか寂しそうに微笑む)
飴村乱数
飴村乱数
これで、全部解決だね☆
天谷奴零
天谷奴零
ああ。そうだな。
白膠木簓
白膠木簓
零は行かないんか?
天谷奴零
天谷奴零
ああ。俺が行ったところで、
あの三兄弟に警戒されて
終わりだろうな。きっと。
躑躅森盧笙
躑躅森盧笙
そ、そうか……
天国獄
天国獄
やぁ。どうも。
メアリィの誕生日祝いに
買ってきたんだ。
(花束を持って入ってくる)
開闢門メアリィ
開闢門メアリィ
……?本当に…?
天国獄
天国獄
ああ。それも、
花言葉が複数あってな。
波羅夷空却
波羅夷空却
成程。今日の早朝、
慌てて出ていったのはそれか。
開闢門メアリィ
開闢門メアリィ
えっと……その花って…?
天国獄
天国獄
ああ、これは
ブーゲンビリア、
スイカズラ、そしてクチナシだ。
花言葉はそれぞれ、
ブーゲンビリアは
『あふれる魅力』。
スイカズラは、『愛の絆』、
『献身的な愛』。
そしてクチナシは……
『幸せを運ぶ』……それと…
『とても幸せ』…なんだってよ。
開闢門メアリィ
開闢門メアリィ
……!そう、なんですか…
天国獄
天国獄
ああ。誕生日、おめでとう。
(花束を差し出す)
開闢門メアリィ
開闢門メアリィ
……ありがとうございます…
(ポロポロと涙をこぼしながら
笑顔で花束を受け取る)
天谷奴零
天谷奴零
……じゃあ、おいちゃんは
これで失礼するぜ。
メアリィ。幸せになれよ。
(頭を優しく撫でる)
開闢門メアリィ
開闢門メアリィ
……はい。
開闢門鬼哭
開闢門鬼哭
じゃあ、帰るか。イケブクロに。
いや、ビギニングゲートに。
夜食はグラタンにしよう。
たっぷりチーズを乗せて、
焦げがついたやつにな。
開闢門メアリィ
開闢門メアリィ
!はい。お父さん…!
公魚    悟
公魚 悟
俺達も一緒に行くぜ。
(メアリィの手を握る)
笠子    明
笠子 明
メア嬢。これからは
ずっと一緒だ。
(メアリィの
もう片方の手を握る)
開闢門メアリィ
開闢門メアリィ
……!はい…明さん、悟さん…
また会えて……本当に……
私は、とても幸せです……!
(子供だった頃に
戻ったように満面の笑みになる)

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