何週間か経った後、モノビトから小清水の死が伝えられた。
彼女は、餓死ではなくて、心臓発作が起こり、亡くなったらしい。
でも……………
小清水が最後に放った言葉を、まだ覚えている。
俺が正直者だったから、長宗我部は俺に真実を伝えなかった。
正直者は、正直だから………
誰かが苦しんでいる事を話してしまう。
これから、長宗我部は、この事を俺に話すのをためらった、ということか。
そういう事は、俺は誰かに話したくもないんだけど………
そうだそうだ、ずっと長宗我部は俺に…………
正直だね、と言っていたな。
これだから、俺は長宗我部の異変に気が付くことが出来ず、
ついには小清水に自殺を手伝ってもらい………
俺には難しかったんだな。
長宗我部、気付いてあげることができなくて、本当に申し訳ない。
俺が目の前にある喜びに、とらわれていたせいで………
俺はゆっくりとため息をついた。
これから、どうすればいいのか、分からなくなった。
長宗我部は、きっと無理して………
俺と一緒にこの学園生活を送っていたみたいで…………
なんだか、俺は長宗我部ではないのに、辛くなった。
でも、本当につらいのは、今ここにいる俺なんかじゃない。
ずっと俺と、離れたいと思っていたのかもしれない、長宗我部なんだ。
俺はドアを閉めようとした。
千歳の顔が真剣に変化していた。
何か大切な話があるのか………?
長宗我部………?
どうして今頃長宗我部について話すんだ?
やっぱり、俺の思っていた通りだったそうだ。
きっと、小清水もコレを言おうとしていたのかもしれないな。
俺は優しくドアを閉めた。
千歳は、目を伏せて、口を尖らせていた。
でも………
本音は、人の深淵を現す物ではないのだろうか。
実は、本音というのは”人のウワベ”の事を現すのではないのだろうか。
本当に思っている事は、本音とは言えない。
そういう事か。
分かった。
本音は、その人のウワベにしか現れないものだ。
心の奥にある、本当の訴えという物は、本音とは言えないのだ。
第四章『愛情のメス。支配のメス。』 完
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編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。