求める価値のあるものはみな、手に入れた瞬間に失うことが約束されている。
いつだって、私が手に入れた幸福は手をすり抜けていった。
クラスで人気者のあのコはいつも幸せそうなのに、私は幸せを手に入れることができない
人はみな、生まれたときから平等じゃないのか
明けない夜はないんじゃなかったのか
散々、悩んだ。啼いた。叫んだ。助けを求めた。
でも、それをしても社会は、人は、一つもこっちを向いちゃくれない。
たかが小さい女児の言葉になんて見向きもしてくれない。
話を聞いて、手を差し伸べちゃあくれない。
そうやって、私は「我慢」を学んだ。
何かを鈍感にしないと、私の生きる目的、存在意義、死んではいけない理由を、探せなくなってしまうから。
「一人で生きていくこと」を学んだ。
誰も手を差し伸べてくれない中で、逆光の中で人々の批判が集まろうが、石を投げられようが、
誰も守っちゃくれないことを知ったから。
「あなたを助けたい」
私の物を捨てたあなたは私の過去を知って絶句してから、そう言った。
私の冷たい手を暖かくてたくましい手で包んでくれたよね。
その手の感触は今でもフラッシュバックしているよ。
本当に、最低だ。
握られたその右手の感触を確かめるように開閉した。
嫌われ者の過去事情_________開演












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。