朝
カーテンの隙間から
薄く光が差し込んでいる
部屋は静かだった
真人は違和感で目を覚ました
なんか近い
あったかい
ぼんやり視線を下げる
思考が止まる
スティッチを抱えたままあなたがかなり寄ってきていた
寝る前はちゃんと距離があったはずなのに
いつの間にか、
スティッチ
あなた
真人
そんな並びになっている
しかもあなたは気持ち良さそうに爆睡中
いや近いって
心の中で何度も繰り返す
けれど、あなたは全く気付いていない
今は完全に無防備だ
ふと、あなたの顔にかかった髪が目に入った
少しだけ迷う
でもそのままだと邪魔そうだった
真人はそっと手を伸ばし髪に触れる
さらりと指の間を抜ける感触
そして耳にかけた
その瞬間
あなたがぴくっと動く
起きた
そう思った
けれど違う
あなたは目を閉じたまま
もぞもぞと寝返りを打つ
真人が安心したのも束の間
あなたは何かを探すように手を伸ばした
スティッチだと思った
さっきまで抱いて寝ていたから
でも寝返りを打った拍子に
スティッチは反対側へ転がっている
当然あなたは掴めない
次の瞬間
あなたの腕が真人に回る
あなたは満足そうに真人へ頬を寄せた
そして
完全に安心しきっている
そんなあなたをみて笑う真人
真人は苦笑した
けれど離そうとは思わなかった
起こすのも可哀想だし
何より今動いたら
たぶん自分の方が負ける
目を閉じた真人
もちろん
五分で済む気はしなかった
to be continued














編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!