第4話

2.未来
90
2025/01/21 07:50 更新
彩花
彩花
暇。
第5回WDBT、そして東京異変が終わってから、何もすることが無い。
かつての家だった、監獄塔には一度も帰っていない。帰る理由は、もう無いから。
彩花
彩花
…師匠…
シヴウェン・ダイシエル。
_____第5回WDBTで30という若さで寿命死・・・した。
私の師匠であり、恩人でもある人だ。

そして、第六部隊での上司である、ビリアン・ラルフッドも__東京異変で戦死した。


塔を出たときは6人…師匠、ビリアン官庁、アラン隊長、イアン副隊長、レーデ兄、そして、私だったのに。


帰るときは2人も減ってるのなんて、
彩花
彩花
耐えられない……
…もう嫌だ。昔の事も今の事も、未来の事も、
何も考えたくない。

考えるの、もう、疲れた……。










そうして、堕落したまま、私は再度眠りに落ちた。






場所は変わり、スウェーデン
アラン
…イアン
イアン
…なに、アラン
監獄塔へと帰る道のりを、二人は黙々と歩いていた。
荒れる冬の面影は無く、夏のスウェーデンには、どこまでものどかな風景が広がっている。
二人の心情に反して。
アラン
…彩花隊員には、まだ連絡がつかないのか
アランはイアンの顔を見ずに聞いた。
イアンは気まずそうに頭をもたげる。
イアン
…えぇ、メールしてもダメ、電話してもダメ。日本にいることには変わりないんだけど、一体どこにいるのやら、検討もつかないわ。
アラン
全くだ。
アラン
しかも、その癖オンラインでやるべき仕事は全部こなして提出してるんだ、俺もお手上げだな。
まだ15のくせして小賢しい、とアランは呟く。
イアン
そう、なのね…
アラン
シヴウェン、ビリアンの死。そして東京異変での防衛軍の損害で、第六部隊の士気は恐らく大きく下がっている。
アラン
この傷跡は大きく残るぞ…
 
二人はまた沈黙した。




イアン
(…彩花はもう、帰らないのかしら?)
いつの日だったか、シヴウェンがいきなり連れてきた弟子。
塔でも人気者だった、あの子は。

懐かしい。皆で居れたのは、つい数ヶ月前の事なのに。

あの時は楽しかった、もう戻れないけれど。
それほどまでに大打撃を受けた。






イアン
(でも、だから、だからこそ)
アラン
"今は皆で支えあうべきだ。"





イアン
…え?
アラン
だろ?
アランはイアンを振り向いて微笑んだ。
イアン
…!
イアンも顔をほころばせる。
イアン
そうね!アラン、私も頑張るわ!!確かに大打撃だけれど、アランが隊長ならきっと大丈夫よ!私も支えるわ!!たとえどんな未来になろうとも!
イアン
それにそもそも彩花は私達も面倒みたしね!勝手に家出なんて許さないわよ!!
アラン
そうだな。…ありがとう、イアン
問題は山積みだ。それは変わらない。

だけど、心做しか軽くなった足取りで、二人は未来へ進んでいった。
そして数ヶ月後、物語は動き出す。



続く。

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