暇。
第5回WDBT、そして東京異変が終わってから、何もすることが無い。
かつての家だった、監獄塔には一度も帰っていない。帰る理由は、もう無いから。
シヴウェン・ダイシエル。
_____第5回WDBTで30という若さで寿命死した。
私の師匠であり、恩人でもある人だ。
そして、第六部隊での上司である、ビリアン・ラルフッドも__東京異変で戦死した。
塔を出たときは6人…師匠、ビリアン官庁、アラン隊長、イアン副隊長、レーデ兄、そして、私だったのに。
帰るときは2人も減ってるのなんて、
…もう嫌だ。昔の事も今の事も、未来の事も、
何も考えたくない。
考えるの、もう、疲れた……。
そうして、堕落したまま、私は再度眠りに落ちた。
場所は変わり、スウェーデン
監獄塔へと帰る道のりを、二人は黙々と歩いていた。
荒れる冬の面影は無く、夏のスウェーデンには、どこまでものどかな風景が広がっている。
二人の心情に反して。
アランはイアンの顔を見ずに聞いた。
イアンは気まずそうに頭をもたげる。
まだ15のくせして小賢しい、とアランは呟く。
二人はまた沈黙した。
いつの日だったか、シヴウェンがいきなり連れてきた弟子。
塔でも人気者だった、あの子は。
懐かしい。皆で居れたのは、つい数ヶ月前の事なのに。
あの時は楽しかった、もう戻れないけれど。
それほどまでに大打撃を受けた。
アランはイアンを振り向いて微笑んだ。
イアンも顔をほころばせる。
問題は山積みだ。それは変わらない。
だけど、心做しか軽くなった足取りで、二人は未来へ進んでいった。
そして数ヶ月後、物語は動き出す。
続く。













編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!