第6話

↻ 勇気の使い道
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2023/11/21 08:27

翌日から、翡翠宮の侍女としての生活が始まった。

何処の馬の骨かも分からない女を独断で雇える

玉葉様の権力は馬鹿にならない。

身の回りのお世話を通して、

いかにこの国にとって大切で必要とされている

存在なのかがよく分かる。



あなた
今日でタイムリープから1週間、か

壁に掛けた日付表にバツ印を付ける。

現代の私の体や心はどうなっているのだろう?

周りの人に迷惑欠けてないと良いけど、



猫猫
あなたの下の名前、おはよう
猫猫
朝食に行かない?

部屋の外から猫猫の声がする。

私は髪を整えて紅碧の着物を靡かせ、扉を開けた。

あなた
おはよう猫猫、今日もかーわいっ!

食堂までの忙しない朝の道を、

猫猫と並んでゆっくり歩く。

猫猫
可愛いのはあなたの下の名前だよ
猫猫
数千年後の隣国から来たってのに、
もう様になってる
猫猫
綺麗なかんざしがよく似合いそうだ

あなた
全部猫猫のおかげだよ!

初めて私を見つけてくれたのが怖い宦官じゃなくて

可愛くて優しくておまけに賢い猫猫でよかったな。



おい薬屋、今日は珍しく連れか

猫猫
うげっ
猫猫
…ごきげんよう壬氏様

猫猫の笑顔が突然引きる。

声の方を振り向くと、無意識に体が強張った。

あなた
(怖い宦官だぁ…)

其処には国を傾かせかねない程の美貌と

言っても過言ではない顔立ちの男性が立っていた。

身長も体つきも良くて、威圧感に押し潰されそう。

猫猫
要件は何ですか

壬氏
まるで条件が無ければ話しかけるなと
言いたげな物言いだな?
壬氏
内密な案件なんだ、一人で来てくれ

猫猫はこの人と知り合いなのかな?

だとしても、こんなふうに権力を振りかざして

連行するのは絶対違うと思う。

実際猫猫は凄く嫌そうだし、私が助けないと…!

私のことを助けてくれた猫猫の為だ、

権力に逆らって首ちょんぱされたって悔いはない!

私は震える拳を固めて、一歩踏み出した。

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