……中也がいない
私は時計を見た。
矢張り此処か
てか子供にそんなこと云っちゃって大丈夫なの?ねえ
来た。この丘。
特異点が発動する前にあの子供の異能のことを伝えなければ
私は中也に小指を突き出した
中也も私に小指を出す
ぶわあああああああ
此処だ。暗い場所
ぱち
攻撃は直ぐ来るだろう
予想どうり中也は手を挙げ重力の玉を連発して私に投げ込んだ
私は横へ駆ける
ずだだだだだだだだだ
丘に咲いていた花が重力子に呑み込まれる
攻撃が止まった
中也の方を向くと血を吐き血を流していた
書類に書いてあった
彼の特異点は己の生命が尽きるまで発生し続けると
また攻撃だ…
ずだだだだだだだだだだ
私は危機を感じないように下を向いて走っていた
その行動は間違っていた
ふと気づいた中也の好きなビオラの花が咲いていると
私は咄嗟に戻りビオラの花を摘んだ
此れだけは傷つけてはいけない
此れだけは
慌てて摘むも重力からは逃げられない
私の顔の前には重力子が接近していた駄目だ。中也…
私は涙を流しながら云った
ポウ…
私の身体は謎の玉に包まれていた
中也を見た
中也も私と同様謎の玉に包まれている
気がつくと私は自分の部屋に居た
どうなったんだと思い、着替えて素早く探偵社に向かった
私は誰だと思い、声がする方を振り返った
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。