【病室】
「翔くん…!」
自分の声で目が覚める。
目の前に広がっているのは、どこかの病室のようだった。
なんで病室なんかに…?
重さを感じて左を見やると、ベッドに突っ伏して寝ているお兄ちゃんの姿があった。
そうだ。私…倒れちゃったんだっけ。
お兄ちゃん、ずっと私の事見ていてくれたんだ。
「ううっ…」
思い出してまた、激しい頭痛に襲われる。
ふと、視界の隅で金色の何かが動いた。
「…のぞみ…?目…覚めた?」
「うん。ごめんね。心配かけちゃって。」
「ほんとだよ。急に倒れちゃって、俺、慌てて病院運んじゃった。」
「まだ痛い?」と心配する兄に適当に返し、さっきの夢の内容を思い出していた。
あの子…誰だったんだろう。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。