第12話

#12 夢に浸っていた
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2024/06/04 09:00


あなたside




素敵な夢を見た。






他の人にとったら

大したことない夢かも しれないけど 、



私にとって 、一生の 宝物にしたいくらいの

本当に 素敵な夢 だった 。







中也
なァ、あなた 何処か行きたい処ねェか ?
 
あなた
…行きたい処 ……?


“素直で 可愛らしい女の子”だったら 、こういう時 、

きっと「此処行きたい」「彼処行きたい」って

はっきり 言えるんだと 思う 。






だけど 私は鈍感で 素直じゃないから

彼の質問に 質問で 返してしまった 。







それでも 彼は 私を面倒に思ったり せず 、

優しい声で 答えてくれる 。

中也
明日 休暇が取れたンだ 。
中也
折角だから手前テメェ
過ごしてェと 思ってな 。


そう言って 中也は私の頭を撫でた 。





彼の手から伝わってくる温もりが 堪らなく心地よい 。



あなた
行きたい処……か 。

天井を見上げ 、私の“行きたい場所”を探す 。





確かに 、中也が私と 過ごしたいと

言ってくれたのは 本当に 嬉しかった 。



彼の 数少ない休暇を 私のために 使ってくれる 。







だけど 、折角の休暇が 私の所為で潰れてしまって

良いのか ……、それが 気になってしまう 。









本当は 無理しているんじゃ ないか 。


本当は ゆっくりしたいんじゃ ないか 。








そう考えてしまうと 、

好き勝手なこと 言えるわけが なかった 。







あなた
うーん …家でゆっくり がいいかな…、


「中也 、最近忙しかったでしょ …?」



私がそう言うと 、中也は少し目を 見開いた 。




そして 再び私の頭を 少し乱雑に撫でた 。

頭が揺らされ 、視界も揺れていた 。


中也
ったく、俺に気を遣ってどうすンだよ。
 
中也
俺は手前テメェと居て 疲れるとか
全然 思わねェし 、
中也
むしろ俺は 手前テメェと居ると 
疲れが 吹っ飛ぶンだぜ ?


そう言って 中也はニヤリと

悪戯心を通わせる 子どものような笑みを 浮かべた 。




そんな表情を 自然と出来てしまう彼が

かっこ善くて 、思わず 笑ってしまう 。

あなた
それじゃあ 、中也の
おすすめの場所 行ってみたいかも …!
 
中也
俺のおすすめか ……。
中也
そうだなァ~ ……












目が覚めると 、窓の外はまだ 真っ暗だった 。

月が とても上の方にある 。2時くらい だろうか 。



あなた
……はぁ、


自然と 出てきてしまった 溜め息の理由が

なんだったのか 、私には善く 判らない 。




だけど私の隣で寝る 彼の背中を 見ていると 、

胸がきゅーって 締め付けられるみたいに 痛かった 。








ちょっとだけ 、ほんの ちょっとだけ 、

彼の顔が みたい 。声が 聞きたい 。





そう思って 彼に手を伸ばそうと したけど 、

不意に 冷静になって その手を止めた 。







彼はきっと 、疲れて帰ってきたんだ 。

それなのにこ んな時間に起こしたら 、彼に迷惑だ 。





私は 頭が隠れてしまうくらい 布団を被り 、

枕に 顔を埋めた 。







彼は夢の中で 、私にどんな場所を

おすすめしてくれようと したんだろう 。



そんなことを 考えながら 目を瞑った 。

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