カリカリカリ、と静かな教室に響くシャーペンの音。
手を動かすのをやめて顔を上げたら、…私の好きな人がそこにいるわけですが。
ガチガチに授業されるとか聞いてないんですけど。
え、何だったの?「お前とおるの好きやから」って言われてドキドキしてたあの時間何だったの?
ちょっと駆け落ちっぽくて期待した私の時間を返せ、今すぐに…!
…犯人リオか!!
気を遣って永瀬と二人にしてくれたのか、
もしくはただ私の成績がやばいことを配慮して永瀬先生をつけてくれたのかは分かんない。
まぁリオのことはとりあえず置いといて。
やった!!スパルタ永瀬先生から解放される!
シャーペンを雑に放り投げて、私は椅子から立ち上がった。
オレンジ色の日差しが差して、教室に青春を感じた。
…二人きり…なんだよな、よく考えたら。いやよく考えなくてもそうだけど。
グラウンドを窓から眺める永瀬の黒髪を、風がなびかせていて。
この端正な顔立ちと夕日のコラボ、私なんかがこの位置で拝んで良いのだろうか。
さらっと本音が出てしまって、緩みかけていた口元が引き締まった。
いくら顔だけとは言え大好きとか言っちゃったよ、何やってんの!
咄嗟に顔を手で覆いながら席に着いた。
もう何事もなかったことにして勉強しようかな…いや、集中できるわけない…
立ち尽くす永瀬を一瞬だけ盗み見して、すぐに視線を教科書に戻した。
だってなんか、…永瀬の顔赤かったから。
16時、毎週金曜、この教室。
じゅうろくじ、まいしゅうきんよう、このきょうしつ。
永瀬が発した言葉を何回も脳内で繰り返す。
そんなわけあるか、と言い返している自分もどこかにいるけど、これは…もしかして…
自然と上がる永瀬の口角。
なぜか、スローモーションに見えた。
あぁ、そんなこといつか言ったっけ…
あ、そっか、だから永瀬もさっきそれ言ったんだ、って頭の中で点と点が線になる。
…変な意味はないって、自分に言い聞かせなきゃ。
専属、って言葉にドキっとしながら。
また永瀬と会える理由が一つだけ、できた日だった。














編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。