第133話

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506
2024/04/21 12:48
拓実
拓実
……は?してねぇ____
You
You
してる。
拓実
拓実
ッ…………





わかるよ。


















私も父さんを失ってから毎日、鏡で同じような顔を見た。







こんなに悲しくて寂しそうな顔してんの、誰?



あ、私…か。




こんなの見られちゃいけない。



私は組を引っ張る立場の人間。




弱いとこなんて見せちゃいけない。



















だから必死で、隠してきた。






拓実
拓実
……俺はきっと
You
You
………………


































拓実
拓実
お前たちが、羨ましかったんだな。
You
You
…………
拓実
拓実
誰かに愛されて、誰かを愛して。誰かを想って、誰かに想われて。…………そんなお前たちを、俺は心底羨んでたんだ。
You
You
…………
拓実
拓実
俺にはいないから。俺を愛してくれる誰かも、俺が愛したい誰かも。独りじゃないよってそばにいてくれる誰かなんて、いないから。
You
You
………………
拓実
拓実
…………俺は………俺…は……ッ……

















































拓実
拓実
ッ…親父に……愛されたかった、だけ、なんだ……ッ…………





川西の目から透明な筋が流れ、耳を通り、地面に濃いシミを作った。











川西は腕で目を覆い、声を押し殺して泣いた。





拓実
拓実
ただ……良い子だって、頭を撫でて欲しかった…ッ……お前は俺の大事な息子だって、言って欲しかっただけなのに……ッなのに…………!





誰からも、愛されない。
















川西が今まで背負ってきたそれは、私よりもきっと、何倍も苦しくて、辛くて、寂しかっただろう。

















今なら少しだけ、蓮が言っていたことが、わかった気がした。





自分には、愛してくれた人がいた。今も愛してくれる、守ってくれる人がいる。常に隣には誰かがいて、慕ってくれる部下もたくさんいる。






だから、川西の気持ちなんて、わかんない。






































けど、わからないからこそ、寄り添いたいと思える。






助けたいと、思える。






























けど上手く伝えられないから、相手から聞けば、無責任で、知ったような口になる。







私も、そう。





You
You
…………そんなことない。
拓実
拓実
……ッ…は……?
You
You
……確かに今までは、あんたは誰からも愛されてなかった。横暴でワガママで自分勝手で、すぐに力でねじ伏せようとするんだから当たり前。そんなんで、愛してくれる人なんていやしないに決まってる。
拓実
拓実
…………
You
You
………………でも、これからはそうじゃない。
拓実
拓実
……?





































You
You
……私があんたを愛してやる。
拓実
拓実

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