私は一つ思うことがある。
それは……"必ず一人ひとつはクセを持っている"ということ。
だってそうじゃない?
指を噛んだり、口調がなまったり、骨をぽきぽき鳴らしたり…。
別に、命に関わるとかみんなが嫌がるとか…そういうクセは直したほうがいいだろうけれど、それ以外なら…ほら、誰も悪く思わないクセとか?
そういうのならいいんじゃないかな…直さなくてもさ。
……だから、私のも直さなくて大丈夫…のはず。
自分だけなら、問題ない…よね……?
坂田君に言われ、左腕を隠しながら目をそらした。
……そう、私のクセは"病んでいないときでもリストカットをする"こと。
過去に病んでいたときに、興味本位ではじめたリスカ。
それがクセになっていて……気がつけば依存症と呼ばれるほどになってしまった。
いつの間にかカッターを握っていて、いつの間にか腕を切っている……それの繰り返し。
そのおかげで、私の腕には常に赤い線が入っていて、いくつか痕も残っている。
…いつも、やっちゃったあとで後悔するんだよね。
優しく微笑む坂田君に申し訳なく思う反面、嫌な顔せず手当してくれることに嬉しいと感じてしまった。
……こう思ってしまうから駄目なんだろうな、私は………。
頑張って早く治さないと……。
そう決心してから数日もたたないうちに切ってしまう私はどれだけ意思が弱いんだろう……。














編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!