そっか。
オールマイトを含む、他のプロヒーローや警察は、私たちが思っている以上に早く操作を進めていたんだ。
下で転がっているワニかトカゲかよくわからない、緑色のヴィラン。
またステインがどーのこーの言ってるけど、そろそろうるさい。
死柄木が立ち上がる。
死柄木弔は、なにがしたいのだろう。
あの氷のように冷たい眼差し。
あれは、まるでなにかを強く恨んでいる者のような瞳だった。
なんでそこまでして、ヒーローを嫌うのだろう。
疑問で仕方がなかった。
だけど、死柄木は答えない。
なにかあったのかな。
普通に考えて、観念したようには見えない。
なに?
なんか、様子が変じゃない?
死柄木が叫んだ、次の瞬間、なにもないところから脳無が姿を現した。
2匹に続けるようにして、部屋のあちこちから脳無が湧き出てくる。
どうして?
黒霧は気絶しているのに。
と、
猛烈な吐き気に襲われる。
なに、これ...!
思わず膝をついた。
気持ち悪い、気持ち悪い。
視界がぼやける。
ぼやける視界の中で、僅かに見えたもの。
それは、爆豪くんの口から吐き出された、黒いヘドロのようなもの。
それはどんどん出てきて、爆豪くんの体を包み込んだ。
私の体を、あのヘドロのようなものが包む。
オールマイトの声を最後に、私は気を失った。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。