どこかで、人が最初に忘れるのは……顔や名前ではないと聞いたことがあった。
俺は今、その意味を初めてちゃんと理解したんだと思う。
だって今はもう、俺の中であんなに心地よく響いていたはずの声もよく思い出せない。
夏油傑『いいかい悟、呪術は非術師を守るためにある。』
その言葉は確かに正論で、それでもこの世界では正論なんかじゃ何も守れないことを知っていたから。
だからお前の言うことはいつだって気に食わなかったし、いつも突っかかってばっかだったけど。
お前がそんな正論を言う度に、安心感を覚えていた。
いつかお前が、二人なら最強だと笑ったように。
俺も、そう思っていたよ。
本当は、今だってそう思ってる。
でも、それは叶わない夢だ。
だって俺の隣にはもう誰もいない。
親友の席は空いたまま、誰も埋めてくれないし、お前以外に埋めて欲しくもない。
親友の席は一生、空いたままだろう。
だから僕は、君の声じゃなくて……言葉に縋ることにしよう。
きっと言葉なら、忘れることはないだろうから。
その席に優しさを置いてくれると思ったから。
「…………傑」
………君の言葉だけが、僕の救いだったから。
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数ヶ月ぶりの投稿です。
言い訳はありません。
ただのやる気の問題です。m(_ _)m
代わりに今回の説明のようなものを書きます。
1つ目、時代の話なのですが特に決めておりません。
皆様の頭で想像して欲しいと思います。(離反後とか百鬼夜行後とか……)
2つ目、最初に悟が考えている事の話です。
どういう意味かというと、人が人を忘れていく過程で1番最初に忘れていくのが声だということを言っています。
説明は終わりです。
ここまでお読み頂きありがとうございました!












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!