もぐもぐとお弁当を食べながら返事する
"ハハハ"と乾いた笑いが電話越しに聞こえてくる
カタン...
ピロン自分の手を握りしめそう呟くように言う
あなたの下の名前は扉の方を見て言った
あなたの下の名前は興味なさげにそう応える
倉橋の顔から優しい笑顔が消える
あなたの下の名前は立ち上がり優太と向き合う
そう言って彼女は笑った
その空っぽのような笑顔は....いつかの"彼女"と重なった
そう言って笑ったあなたの下の名前は
扉の方へ向かおうと優太の横を通り過ぎようとする
あなたの下の名前は優太の腕を振り払い冷たく言う
あなたの下の名前は嘲笑を零して言う
自分の腕をギュッと掴み俯きながら言う
あなたの下の名前は優太の顔を見る
しかしすぐに目を逸らし、俯いて呟くように言う
その声は...酷く悲しげに聞こえた
そしてあなたの下の名前は優太に背を向けて歩き出す
あなたの下の名前は何も言わなかった
ただ、扉を閉めた重々しい音だけがその場に響いた
優太は静かに扉を見つめ呟くように言う
そして、久しく呼んでいなかった名を口にする
あなたの下の名前は職員室に向かう途中の廊下で立ち止まり
小さくうずくまった
最低だ、わたし....
目の前に晴明が映り込む
すぐに立ち上がり笑顔を見せながら言う
そして晴明が背を向けた時
咄嗟にあなたの下の名前は晴明の腕を掴む
急に腕を掴まれた晴明は驚いて素っ頓狂な声をあげた
あなたの下の名前は、血の出てる晴明の右手を指さして言う
あっけらかんとしながら言う
シュバッと右手を差し出す晴明
手を見るとウサギの絆創膏が貼られていた
晴明は嬉しそうに右手を見る
あなたの下の名前は何故か自分の口を抑えて小刻みに震えていた
晴明が様子に気づいて一歩あなたの下の名前に近づこうとすると
あなたの下の名前は一歩後退りをした
晴明は手を伸ばす
気づいたあなたの下の名前が顔をあげ、そして...彼女の表情が見えた
あなたの下の名前はその場から逃げ出した
晴明はただ、呆然として逃げるあなたの下の名前の背中を見ていた
まただ、また....逃げてしまった
涙が頬を伝う
あなたの下の名前は何度も足が縺れそうになるのを必死に堪え
ただひたすら走った
胸が締め付けられるような息苦しさを感じながら
あなたの下の名前は突き当たりの教室の扉を乱暴に開け中に入っていく
埃っぽい匂いが鼻についた
荒い息遣いが、静かな教室に響く
窓から差し込む光が辛うじて室内を照らしていた
あなたの下の名前はフラフラと奥まで歩く
そして壁に背中を預けズルズルと座り込んだ
理由は、分かってる
嬉しそうに絆創膏を見る晴明を見て....
酷い怪我じゃなかったことに....晴明が笑っていることに
ホッとしている自分がいた
そんなこと思っちゃいけなかったのに....
わたしは晴明が嫌いなのに...
それだけは....信じたくない
そんな時だった
聞き慣れた声が聞こえた
今まで嫌になるほど聞いた....心の底から大嫌いな声が
顔を上げ、声の主を見る
見飽きるほどに見た黄色の長い髪に、光を失った青い瞳
そして張り付いたような
不気味な笑み
それはあなたの下の名前に近づいて目の前にしゃがみこむ
あなたの下の名前は体を震わせた
そう耳元で囁いた
その声は、酷く冷たく恐怖すら感じた
ニッコリと笑いながらそう言った
手を伸ばしあなたの下の名前の頬に手を添えて
その声は優しく、子供を宥めるかのように言う
先程までとは違う、低く冷たい声
嘲笑を零してそれは言った
笑顔を崩さないまま、それは手を伸ばす
そして....
思い切り頬を掴み、そして言葉を吐く
ポタ...ポタ
あなたの下の名前は顔を手で覆い隠し、俯いて涙を流す
声を殺すように
そう言われて思い浮かべたのは...."不器用な笑顔"
"わたし"の大切な....
違う....なんて言えない
だってわたしは、あの子から逃げたんだから
だって、"わたし"は神様だから
明るい声、嬉しそうな....そんな声
そう言ってあなたの下の名前の耳元でこう告げた
それはニコやかに穏やかにそう言い放った
何故か、胸がザワついた
あなたの下の名前は耳を塞ごうとする
しかし、それはあなたの下の名前の腕を掴み耳元に顔を近づけて囁く
その言葉を聞いた瞬間
"わたし"の中の何かにひびが入った気がした
あなたの下の名前を優しく抱きしめてそれは囁くように言う
優しく...優しい声でそう囁いた
不気味な笑みを浮かべ、あなたの下の名前に手を伸ばそうとした
その時だった
チリン....チリン
暗く...冷たい声
あなたの下の名前はただ一つの言葉を繰り返す
鼻歌混じりにそれは呟く
チリン...チリン
鈴の音が聞こえる
青白い光が薄暗い教室を照らし、女の声が響いた
あなたの下の名前はまるで人形のように
"ごめんなさい"という言葉を何度も、何度も繰り返す
その声はまるで____
青白い光を纏う女らしきモノの回りを"赤い蝶"が舞う
羽音はまるで鈴の音のよう
チリン...チリン
そう言って呼吸を整え、そして....
唄を歌いながら
それはゆっくりとあなたの下の名前に近づいていく
しかし、その唄はあなたの下の名前の耳には届かない
"ねんねんころりや ねんころり"
"静かにお眠りこの心"
"失くした思い出 捨てた夢"
"冷えた川底深く 沈んでく"
ツーと涙が頬を伝う
目元を赤くして、あなたの下の名前は寝息を立てて眠った
※ ちなみに、ちゃんと誕生日に描いた絵です(10時間以上かかった)
※ 完成しても載せるタイミングは決めてるのでお披露目は遅れるかも
♡582 ☆117 ありがとうございます!


























編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。